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弥生九州の鉄器は中国製品の再加工

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弥生時代における初期鉄器の舶載時期とその流通構造の解明
http://home.hiroshima-u.ac.jp/kouko/book/noji_kaken08.html
                               広島大学

「近年では鉄器の出現を中期以降とみなす意見(春成 2006)もあるが、前期末葉から中期前葉とされる鉄器は、
京都府扇谷遺跡(田中他 1984)、
広島県中山遺跡(川越 1993)、
愛媛県大久保遺跡(柴田 ・ 田本 2000)、
山口県綾羅木郷遺跡(伊東編 1981)、
山口県山の神遺跡(冨士埜1992)、
福岡県下稗田遺跡(長嶺 ・ 末永編 1985)、
福岡県一ノ口遺跡(柏原 ・ 速水 1991)
にある(第1 章参照(2))。」 



「板状の鉄器(鉄斧や鉄鑿)でも、その両側縁あるいは一方が短く折れ曲がるものがあるが、これらは中国戦国時代の燕地域の鋳造鉄器(鑊先)の破片であることを指摘したことがある(野島 1992b、図 1.1)。」(1. 弥生時代の初期鉄器 野島永)


「未報告のものや共伴土器が掲載されていない報告もあり、厳密な時期を検証するには不明瞭な部分が多い。出土例は京都府北部、丹後半島から九州北部にまで分布していることから地域的な偏りはなく、地域編年による誤差とは考えにくい。すべてが前期末葉に遡らない鉄器、つまり前期末葉の土器とは共伴しないと断定してしまうのは現状ではやや難しいといえる。」

「定型化した二条突帯斧とは異なる種類の鋳造鉄器も目立つ。綾羅木郷遺跡の前期とされる鉇(図図 5.2 鉄鉇と鉄鏃の組成比率(弥生時代後期中葉〜終末期)1.9;62)や、中期前葉の板状鉄斧など鍛造鉄器と報告されたものでも、鋳造鉄器破片である可能性が高く、この段階の鉄製品の多くが(中国)戦国時代の鋳造鉄器の破片を再加工したものであることがあきらかとなりつつある(第 1 章参照)。」

「こののち弥生時代中期前半には戦国時代中 ・ 後期(晩期)、中国東北地域(河北 ・ 遼寧 ・ 燕)を故地とする定型化した二条突帯斧(鑊先)〔?式二条突帯斧(村上 1988)、Aa-1 型式鋳造鉄斧(川越 1993)〕が舶載鋳造鉄器の代表格となる。」
(5. 弥生 ・ 古墳時代における鉄器文化)





北部九州の鉄器は弥生時代中期末葉(紀元前1世紀末)~後期前葉(1世紀半ば頃)にすでに存在し、その素材の多くが中国北東部製品の再加工品であると野島は書いている。
これは中国では前漢~新の時代に当たるが、紀元前2世紀末に漢の武帝が半東北部に楽浪郡がおかれ、漢の支配下にあったが、紀元前1 世紀ごろに楽浪郡の北部に高句麗という国がおこり、半島南部では小国がいくつもできはじめている。紀元前1世紀中頃から漢の玄菟郡・高句麗県に付属していた支配地域は出費が嵩むため放棄され始め、替わって濊貊系に属する濊族の夫余や貊族の高句麗などを冊封する間接支配へ切り替えられた。高句麗を形成した濊貊系民族とは、中朝国境をはさむ山岳地帯で農耕を主とし、その他に狩猟牧畜を生業としていた民族とみられる。

それ以前には、BC160年前後に長江に馬王堆王墓が造営された馬王堆文化の時代である。鉄器導入の早かった北部九州でも、長江文化との交流時代からは鉄器流入は起こっておらず、つまり長江文化末までは南部に鉄器がなかったようである。

時代的に弥生時代中期末葉~後期は、

「蓋國在鉅燕南 倭北 倭屬燕」(山海經第十二 海内北經)
蓋国は鉅燕の南、倭の北にあり。 倭は燕に属す。

という記録の時代に相当する。

つまり北部九州が得ていた鉄器素材は、おそらく燕が拾遺していた戦国時代の廃棄品を、倭国王帥升の頃に高句麗か楽浪郡から輸入し、再加工したものであることとなる。同時代で近畿地方でそうした中国北部を仲介に得られた鉄器は存在しない。古墳時代に和邇赤坂にある東大寺山古墳出土の「中平」年代入り鉄剣があるが、銘文は1.5世紀でも、古墳は4世紀のものなので、同時代に得たものではなかろう。
つまりワニ氏は、北部九州と深い関わりを持ちつつ、その縁故で燕などの東北部独立地帯と通じ、燕が滅びて高句麗の時代に、やはり楽浪あたりから鉄剣を得ていたことになろう。その時代はせいぜい3世紀卑弥呼の時代であろう。


戦国時代中期(紀元前4)の中国北東部勢力図
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