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特集6 卑弥呼は曹操を知っていた!割れない鏡に卑弥呼大いに悩む 日本の三国志ファンは三国志のファンではない 東大寺山鉄剣の重大さ

 
さて、前回は倭人伝の道程距離が政治的な理由から書き換えられたことを論じた。
 
その理由とは、大陸の政治事情である。曹操死後、魏が最終的に勝利し、正統王朝漢の後継者に決まったことで東アジアの政情は一旦落ち着くことになる。そこで邪馬台国を初めとする数ある倭人集団は、全員が安心して魏と朝貢するようになる・・・はずだ。ところが現実はそうではない。
 

◆あっけなく滅びる魏
魏の覇権は曹操死後、いとも簡単に司馬氏によってひっくりかえされるのである。『三国志』のファンならば・・・日本人は自分を「『三国志』ファン」であると簡単にいう人が多いが、実はあなたは『三国志演義』という小説のファンでしかない。史書としての『三国志』をあなたはほとんど知らないのである・・・あれほどわくわくする三つ巴の頭脳戦を繰り広げたあげくに、勝者はあっという間に西晋に取って代わられてしまうのだからあっけにとられた記憶があるだろう。大陸は日本のような島国とは違い、常に鵜の目鷹の目で政権を狙うものが現れる。最初の王朝だった秦ですら、三代で終る。魏も三代で終ってしまい、なんと宰相だった司馬氏に取って代わられた。司馬氏とは、漢文の素養が少しでもあれば誰でも知っている、あの
 
「死せる孔明、生ける仲達を動かす」
 
で有名な魏の兵法達人一族であるが、実は名前が言うとおり司馬氏の出自はそもそも身分の低い馬飼いである。この司馬という職業は『西遊記』で孫悟空が最初にもらった役職「ひつばおん」と同じで身分が超低かった。
どこの世界でも犬飼、馬飼、鳥飼などは被差別者の仕事である。
 
さて、北朝がこんあありさまだから、滅びたはずの呉の残党、つまり南朝復活をめざすものは長江より南にはいくらでも残存していた時代に史書『三国志』は書かれたのである。当然、彼らには知られたくない情報がいくつも存在した。そのうちのひとつが倭人の中心地。倭に限らず、周辺各国とはいつまた手を結ぶか知れない。だからその場所は正確に記録するわけはなかったのである。日本地図が南北さかさまの地理感だったなどと大和説はしゃあしゃあと空想でものを言うが、極東に関心の薄かった12世紀の地理感と、1~3世紀のような動乱期の東アジアのグローバルな連携模索時代とでは、国家の為政者の意識・緊張感がまったく違うのである。あとの時代がそうだったから、前の時代からの通念であろう、、、などというのはまっとうな歴史学者が言うべき言葉ではない。はっきり言ってあとよりも前の時代の意識や文明の方がはるかに高いことの方が歴史的通念なのだ。
 
では、魏が成立して滅びるまでの短い期間、
その短い期間だけが倭人国家と魏のつきあいだった・・・あなたはそう思うかもしれない、ところが・・・
 
 
◆魏と倭人のつきあいはもっと古くからあった
以下に再び引用するのは、過去記事の「倭人字磚と曹操」」である。
曹操の先祖と倭人のあいだには古いつきあいがあったのである。
 
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民族学伝承ひろいあげ辞典「倭人字磚と曹操」から転載
 
■曹操出生地で見つかった磚に「倭人」の文字
「安徽省亳県(あんきしょう・はくけん)所在の曹操宗族墓群の中の「元宝坑村一号墓」から、多量の字磚が出土したが、その中の一枚に倭人という字を含む文章があった。この「元宝坑村一号墓」は一族の曹胤(そういん)の墓と言われ、築造年代は後漢の建寧年間(168~172年)であることが分かっている。

 
                  「倭人有り。時を以って盟することあるや否や」
 
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(注)盟する・・・同盟・連盟の盟であり、「盟する」とは「互いに神前において誓約して、よしみを結ぶ」ことである。後漢書で述べるが、建寧年間を含む「桓帝と霊帝の統治期間(147~189)には倭国において「乱れ(大乱)」が生じ、その結果、女王ヒミコが邪馬台国の王となって収まったのだった。

 「倭人有り」の倭人はその頃の倭人で、この文が果たして、倭国の混乱した状況を受けて作られたものなのか、それとも列島の倭国の状況とは無関係の、大陸における倭人の活動の一端を表した物なのか、どちらとも言い難い。

 ただ、倭人が2世紀の半ば頃に確かに大陸のそこ(安徽省亳県)に居て、後漢人(といってもやがて魏を建国するのだが)と同盟を結ぼうかと言えるような立場にあったことだけは史実と見てよい。」

※かわかつ 「同盟」の「盟」は、このサイトではさらりと「よしみを結ぶ」と表現してあるが、非常に重い盟約、誓いを交わすことで、そのためにはお互いに血を流したり、日本の記紀などにあるクガタチを盟神深湯と書くように、煮えたぎる熱い湯に手を入れてなどして交わす約束である。
「あるや否や」は「ありや否や」が正しい文法だろう。
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
引用はすでにこのブログで二度目になるので詳細な説明は繰り返さない。
この中国考古学一級資料を見るだけでも、少なくとも1世紀ころから大陸・中国と倭人海人族が深く往来していた証拠品となることぐらいはおわかりいただけると思う。ところが大和説・考古学者はこれも無視する。
 
 
小林学の悪弊ここに尽きている。
 
 
倭人が東アジア諸国から援助の同盟者として、古くから期待されていた。だから突然の卑弥呼の使者の来訪を魏は歓迎し、丁重に迎え、さらに多くのみやげものまでくれ、しかも使者をわざわざ送ってきたのである。こんあことを書く邪馬台国論はそうそうないはずだ。
 
 
◆青銅鏡破壊で卑弥呼悩む
卑弥呼の好物は魏を困らせた。金や鉄刀や絹織物や金銀の印鑑までやったのに、こともあろうに南朝で愛されてきた神仙思想のモチーフを持ったような鏡を欲しがったのだから。神獣鏡だといっているわけではない。魏の鏡ならば画文帯神獣鏡の方が理に叶っている。しかし神獣鏡のような長江周辺の古い神秘主義に魏は関心がなかった。そこで孫権の呉に勝ったときに連れてきていた呉の工人に!急遽、わざわざ神仙思想の絵柄の鏡を作らせた。だから同じ銅鏡でも正式な白銅鏡は間に合わず、青銅鏡になった。ところが持ってかえって、これを割ろうとしても、割れないから卑弥呼は大いに困ったはずだ。九州にいる時に見た白銅鏡は簡単に割れたのに、この鏡は割れない。
 
鏡は割らなければならない。なぜならそれは非再生の呪である。完鏡は復活の呪具。それを割ることは死者の復活を阻止する意味がある。誰の?敵国の死者だ。それも往古は丁重に埋葬していた。それが死者への礼儀と復活阻止の礼儀なのである。そのような鏡は、しかたがないから味方の墓に使うしかない。巫女としてそうなる。
しかし重要なのは死者の頭部である。そこにはもっともよいものを使った。画文帯神獣鏡である。
 
 
◆三角神獣鏡の時代的変化分析がすすんでいる
現在、ごまんとでてきた三角縁神獣鏡について、作成年代による材質などの変化が分析されはじめている。上のような流れを受けて、時期的に神獣鏡の初期のものならば中国製があるのではないか?卑弥呼がもらった魏の鏡なんじゃないか、という大和説側のむなしい試みである。
 
それによれば三角縁神獣鏡には年代的に四段階あって、その中で第一、第二段階のものを古鏡といい、それらは出てきた古墳も古段階のものだとする。雪野山・安満宮・西求塚・権現山51号墳・吉島古墳などがこれに当たるそうな。だからどうしたというのだが、結局は全部青銅鏡なのである。
 
むなしい努力というべきだが、青銅鏡というのは正式な中国の鏡ではないのである。あくまでも白銅鏡こそが正統な品物。しかしこれの製造には時間がかかり、間に合わなかったのである。しかも卑弥呼はむしろ南朝の道教=鬼道を用いる巫女だった。その理由は邪馬台国が最初につきあっていたのが道教の強い公孫氏燕だったからにほかならない。なぜなら東大寺山鉄剣の銘文には「庚申」と彫られており、この「庚申」とは中国南朝の道教では最大の吉日であり、器物に呪がまんべんなく乗り移る「大安」だった。これを庚申思想と呼ぶ。
 
 
あの東大寺山鉄剣がある限り、邪馬台国大和説はゆるがない、と言っても、実はいいのである。
 
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その解説はまたあ・し・た。
 
 
 
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