「簠簋(ほき)内伝」は陰陽道の書として有名。
内容は主に安部晴明伝説である。
ほき【簠簋】
正式名称『三国相伝陰陽輨轄簠簋内伝金烏玉兎集
(さんごくそうでん/いんようかんかつ/ほきないでん/きんうぎょくと/しゅう)』
は、
1 安倍晴明が編纂したと伝承される占いの専門書と言われているが、
2 実際は晴明死後(成立年代は諸説ある)安部家の人々によって晴明のあとを受けた陰陽一家に作らせたものである。
3 後年には読みやすくした「簠簋抄」(ほきしょう)というものも出版された。伝承によれば、この書は天竺で文殊菩薩が作り、その後伝説上の晴明の師・伯道上人に伝えられ、晴明に伝えられたともいう
(別説では阿倍仲麻呂に伝えられたが、仲麻呂が帰国できずに唐で死去したため、吉備真備によって日本に持ち込まれ仲麻呂の子孫とされた晴明に伝承されたともいわれる)。
4 いずれにしても晴明を物語の主役とした陰陽道喧伝のための広告宣伝であり、話の筋は信じるに値しないとされている
全5巻で構成されている。
第1巻は牛頭天王の縁起と、様々な方位神とその吉凶を説明している。
第2巻は世界最初の神・盤古の縁起と、盤牛王の子らの解説、暦の吉凶を説明している。
第3巻は1、2巻には書かれなかった納音、空亡などが説明されている。
第4巻は風水、建築に関する吉凶説をのべている。
第5巻は密教占星術である宿曜占術をのべている。
第1巻は牛頭天王の縁起と、様々な方位神とその吉凶を説明している。
第2巻は世界最初の神・盤古の縁起と、盤牛王の子らの解説、暦の吉凶を説明している。
第3巻は1、2巻には書かれなかった納音、空亡などが説明されている。
第4巻は風水、建築に関する吉凶説をのべている。
第5巻は密教占星術である宿曜占術をのべている。
1〜3巻と比べて、4〜5巻はあきらかに異質である。最初に1〜2巻が書かれ、それの増補として3巻が加えられた。それに、別個に成立したと思われる本が加えられ、これが4巻、5巻であったと考えられる。(以上参考Wiki簠簋内伝など)
ただし陰陽道と宿神・・・つまり荒神である牛頭天王=スサノヲやほかの災害神でそのモデルは中国の軍神「蚩尤」である。これらは「盤古神話」を基盤にできあがっているということを伝える部分は信憑性が高い。
蚩尤は饕餮(とうてつ)同様に牛の角、牛の体を持つ伝説上の怪物。つまり「オデュッセイア」に言う鉄神キュプクロスに似た怪獣で性格は製鉄神、砂や石や鉄を喰らい、超能力を持ち、性格は勇敢で忍耐強く、黄帝の座を奪うという野望を持っていた。同じ姿をした兄弟が80人くらいいたという。戦争にあっては、神農氏の時、乱を起こし、兄弟の他に無数の魑魅魍魎を味方にし、風、雨、煙、霧などを巻き起こして黄帝と涿鹿の野に戦った(涿鹿の戦い)。濃霧を起こして敵を苦しめたが、黄帝は指南車を使って方位を示し、遂にこれを捕え殺したといわれている。明らかに鉱物氏族を指す。
これが伽耶などの半島南部で軍神とされ鉱山工人らによって信仰された。
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キュクプロス
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蚩尤
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饕餮
要するに陰陽道が派生する大元には、渡来製鉄、鉱山、山岳信仰が大きく関わった。
簠簋とは何か?
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〔「 簠 」は四角い祭器,「簋」は円形の祭器の意〕
中国で,神に供える穀物を盛った祭器。
出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』
中国で,神に供える穀物を盛った祭器。
出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』
中国の盤古は道教の宇宙開闢神。
「盤古についての記述が初めて現れる書物は、呉代(3世紀)に成立した神話集『三五歴紀』である。そこでは、天地ができる以前の、卵の中身のように混沌とした状態から盤古が出現したと記されている。また、斉(4世紀後半)のとき書かれた『述異記』によると、天地が形作られたあと盤古は亡くなり、その死体から万物が生成されたと伝えられている。例えば盤古の息から風が、左目からは太陽が、右目からは月が、頭と体からは中国の神聖な山である五岳(泰山など)がうまれたという具合である(こうした神話の類似から、『リグ・ヴェーダ』の原始巨人プルシャが伝播したものだ、という学説もある)。
盤古は天地創造の神であるから、時系列で考えれば人類創造の神(または偉大な人物)である伏羲・女媧よりも前に存在したことになる。しかし盤古の存在が考え出されたのは、(すくなくとも文献による考察によれば)『史記』(前漢代)や『風俗通義』(後漢代)に記述がある伏羲氏・女媧氏などの三皇五帝が考え出された時期よりもかなり後代ということになる。」Wiki盤古
このような中国神話を簠簋内伝が取り込んでいるのは、もちろん平安時代までに盤古神話が日本に伝わって以降の簠簋内伝成立ということを示す。それ以前のことはまったく不明で、陰陽道の始まりがいったいどの時空で起きるかはつかみにくい。
安部晴明の安部氏(阿部氏)は「阿閉」が古く、その前は「饗 アエ=神饌」であるとされている。つまり安部氏とは神の食事の係りであったことになる。シャーマンであろう。「あべ」はアエがなまった氏名であることになるので、飛鳥以来の部民制度の「部」とは異なる。本拠地のひとつは大阪市阿倍野である。
簠簋内伝では、晴明に陰陽道を伝えたのは吉備真備とされる。吉備真備は岡山の王族氏族の下道(しもつみち)氏を出自とするらしいが、橘諸兄と同時代人の遣唐使のひとりで、おそらく渡来系。吉備を名乗るのは祖先が渡来して以後のものかと思える。吉備地方が大和よりも古いシャーマニズムの集合地帯だったことは間違いあるまい。おそらく祖先は晴明同様に製鉄氏族(高志族とも言う)であろう。
※高志族については別記する。吉備真備については広峰神社伝承として別記する。
吉備の製鉄は播磨同様に、日本海からなだらかな中国山地を、鉱物を捜し求めて越えてきたアメノヒボコ一族の「高句麗」由来?高志=越族?の手になる事業だっただろう。岡山と言えば桃太郎であるが、また鬼としての温羅(うら)と吉備津彦との争いでも有名。また備前、備後、播磨に砂鉄鉱山、赤松森林、製鉄遺跡が集中し、巨大古墳も集中する。
※記録で「新羅の」とある場合、多くはその記録成立時に半島が新羅国によって統一されているから朝鮮=新羅となっていたケースがほとんど。だから新羅と書かれてあってもそれは高句麗かも知れぬし、百済、伽耶かも知れないのである。
鉱山と製鉄・精錬の工人は往古、世界で「鬼」「悪魔」とされ、征伐の対象とされている。すの姿は巨人、一つ目、牛頭牛角、けものの脚を持ち、人を食うといったステレオタイプ。キリスト教で言えばそれは「666」けだものとされた「モノ」である。陰陽道はそういう基盤から生まれる。日本では上記「盤古」神話が基盤であり、のちに牛頭天王と呼ばれるいわゆるあらぶる神・荒神、スサノヲ、新羅神と同一である。渡来・・・すなわち来訪する神であり「武塔 むとう 神」、「蘇民将来」とされるが、平安時代にこれらは一括して「祇園」神とされた。八坂の神の本性がこれだ。
災害神とは道教、孟子の言う宇宙の摂理である。地球、大自然の裏の現象を表す。表は大地母だったり太陽神だったりする。つまりこれは表裏一体。であるから月、影、寄り添う宰相(摂関。武内宿祢、秦河勝のような)をも言い表す。天皇が太陽なら聖徳太子も蘇我氏も藤原氏も、物部氏や大伴氏も、秦氏も葛城氏も、ヤマトタケルもスサノヲも穴師の大兵主神も全部そうである。王家のために影で働くすべてが災害神を奉じるのである。これはその部民たちも同じ。最下位に置かれた渡来工人・職能民もそうである。
安部氏も広くは秦の民であったと言える。「はた」はイコール渡来である。
陰陽道のなんぞやを知るためには、むしろ中世の『花伝書』のほうが理解しやすい。世阿弥は修験も含めて、彼らの出自、敗者からの復活、影の存在である「しゃぐじ」宿神のすべてを能という芸能を通じて体現しようとしたからである。能には陰陽道における陰陽、光と影、後ろ戸の神の存在をありとあらゆる東アジアシャーマン伝来の表現方法で世間に芸能として見えるようにした。それは闇であり宇宙そのものである。
これらを知るには孟子を理解する必要がある。また黄河文明以前の青銅器に描かれる怪獣たちのゆえんを客観的に解釈する科学が必要である。これらは儒教などとは次元がの違う哲学世界で、凡百ではなかなかたどり着けない深遠だと言える。