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『「地震予知」の正体』R・ゲラー/『生から死へ、死から生へ』ハインリッチ

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一度は読んでおくほうがいい本。


『「地震予知」の正体』ロバート・ゲラー
ロバート・ゲラーは「そこまで言って委員会」でも知られる東大最初の外国人常駐正規教授でスタンフォード大学助教授から東大へ移ってきた地球理学博士で、日本在住の地震予知無意味論者。アメリカでの師匠は金森博雄東大地震研究所教授。

「地震は予知できまふぇん」でNHK出演断られ・・・なにをしゃべっているかよくわからない先生だが、軽く言語障害があるようだ?でも翻訳者なしのまっとうな日本語でこの書物も書いてある。あなたより数十倍の日本語の達人である。ホームページ所在は東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻HP

ここでゲラーは、やさしく、東海大地震ブームの正体を暴きつつ、そのブームによって日本政府が、いかにその無意味な「冤罪」に多大な金を使ってきたかを説く。なまずによる地震予知研究(過去これにも予算が出ていた!)のほうがまだましな日本の地震予知とも言う。

地震予知は不可能。
ひとけた多い研究費のために考え出された東海地震近未来発生説に政治は何億もの金をつぎ込んだ。そのために菅総理は東日本大震災でいきなり静岡の浜岡原発を停めた。
しかし何十年立ってもなにも起こらない。
その危険度のパーセンテージ80は、予算を得るためにかんがえだされた。
民主党内閣の浜岡原発停止に意味があったか?
と、次々にわれわれ日本人の主観的「地震対策」に釘をいちいちさす。
そのラジカリティがなぜか心地よい。

地震予知研究に政府が使った予算は数億円。しかしなんの結果も得られてない。
その背後に、議員時代の中曽根がいた。

などなど、目からうろこの発見あり。
民俗学的にも学者や政治家の動きが参考になること請け合い。






ベルナンド・ハインリッチ
『生から死へ、死から生へ 生き物の葬儀屋たちの物語』2016/08/10

イメージ 1


昆虫・植物からネアンデルタール人まで、作者は、死体を処理する生物を見つめることで、死生観をとつとつと語る。

最も大事な処理屋は、一般世界では人気がない。日陰の存在だ。でもこれほど大事な係りはいない。そこにはある特殊な円環死生観がある。


この本を読むと、筆者などは、ウルトラマンと怪獣を思い出すのである。ウルトラマンが毎週倒した怪獣たちの死骸は、いったいどうやって、誰が処理しているんだろう?そう子供の頃に感じたことはないだろうか?

あんな巨大な生物が死ねば、ものすごい悪臭もするだろうし、土に還るまで相当な時間がいるだろう。ところがアリやカツオブシムシやゴキブリやアメーバたちは、しゅくしゅくとこれを「掃除」してゆく。それが実は輪廻だということにわれわれは気付かない。

きたない奴らと決め付け、差別し、下等動物だとしてきた。


欧米にもそうした視点がある。縄文人の円環する永遠の引継ぎの思想。そういうものは日本人だけではなく、世界中の人類が共通して持っているのだ。そういうことにかづかせる著作である。






無用なものなどないのだ。

ブームは世間にそれを認知させる「道具」である。


風評も道具にできる。

もちろんいいほうへ導くのなら、それはいい道具なのである。





とかく人の世は面白いのである。
















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