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Channel: 民族学伝承ひろいあげ辞典
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古代は緑豊かだった、は間違い

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われわれは古代の環境といえば緑豊かな森林に囲まれていたと思い込んでいる。ところが環境考古学の分析では、日本では仏像や仏教建造物が大幅に増え、製鉄や生活のための燃料である炭製造も増大、船舶建材の大幅増大などさまざまの人為的要因で、都市近郊の森林破壊が続き、つい明治時代までそれが続いたことがわかっている。

江戸時代の名所図会に描かれた里山風景には山は禿山、野山はぺんぺん草しか生えていない風景が多い。
 
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明治時代の写真でも、やはり背景の山々が木一本生えていないものが多い。
 
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まるで産業発展にようやくめざめた現代の中国のような景色が日本にもかつてあったのである。
 
 
国家が明治時代の富国強兵・殖産興業によってそれまでよりもはるかに都市より離れた遠隔地の森林伐採を進めたために、ようやく国単位の造林が開始された。それまでの森は、奈良~江戸までの長期に渡って国単位の植林もなく、伐採も個人・団体の自由だった。実は現代でも、ほとんどの名山が個人の私有物で、それが国定公園であっても国家は山の管理を民間個人に委託していることをほとんどの日本人は知らないだろう。それは尖閣が個人私有物であったことから想像してもらいたい。島も山もいまだに保護は民間が行い、国はわずかな費用を出すだけである。
 
奈良時代の大和近郊の山は、つまりほとんどすべてが丸裸状態であった。平安京以後、ようやく嵯峨天皇が近江の安曇川支流沿線の森林を保護地域にしたり、あるいは寺院・宗派単位の熊野の造林が行われ始めている。現在の熊野古道の杉やヒノキ、コウヤマキも人口の造林によったところが大きい。これは高野山と信者と住民の仕事であった。中世に里山の森林を守ったのは武家や神社仏閣の荘園である。つまりせいぜいが社団法人単位。天皇家は天皇家の禁断地・禁則地しか守っておらず。先祖の古墳でさえ十分に墓守できていない。ほったらかしである。だから昔は、民間人が勝手に墓所にしたりが横行し、古墳盗掘も、宮内管轄であるはずの森林伐採も自由自在だった。
 
こうした古代人類の環境破壊による文明衰退は世界史でも多々散見される。
 
 
 
 ◆マヤ文明の盛衰と環境変動~環境考古学による気候と植生の復元~
「マヤ文明の盛衰の原因、特に古典期マヤの衰退の原因については、これまでに多くの説明が試みられてきた。それには、1)人口増加、2)環境破壊、3)戦争、4)干ばつなどの要因が挙げられているが、いまのところ、どれかひとつの要因ではなく、これらの複合によって衰退したことが多くの研究者の間で一致をみている。このうち、環境破壊と干ばつの影響については、環境考古学の手法により研究が進められている。干ばつの影響については、中米各地の古気候復元結果から、古典期終末期(AD900年頃)に気候の乾燥化があったことが報告されている。しかし、これと同様の乾燥化は、それ以前の先古典期にも見られるし、また地域によって乾燥化の度合いも様々であったことが分かってきた。最近は気候悪化だけでなく、人為的な森林破壊の影響も強く関わっていた可能性が指摘されている。増加する人口を支えるために農地を切り開くとともに、巨大な神殿ピラミッドを建設するための建材や燃料材として、森林を大規模に伐採した可能性がある」
http://ir.soken.ac.jp/index.php?active_action=repository_view_main_item_detail&page_id=29&block_id=155&item_id=3235&item_no=1
 
 
旱魃や津波、気候・環境変動による森林などの破壊、衰退よりも、実は人類の手になる破壊のほうがはるかに影響は大きい。それは樹木に限ったことではない。あらゆる金属資源などもみな、人類の開発によって引き起こっている。人類は地球最大の破壊者なのである。あたかもタコが自らの脚を食うように、われわれはあらゆる資源を食い尽くしている。
 
翻って縄文人はさかんに栗などの植林を行っている。食物確保と建材確保のためであることがわかっている。
それは栗のような樹木は、放っておけばどんどん枝葉を伸ばして真っ直ぐに伸びてくれないところが、そく枝の伐採管理をしたとしか思えないまっすぐな大木で高層建築を作っているからだ。奈良時代には桃の木などを並木にする都市事例もあるが大規模な造林とは言えない規模である。文明があとになるほど進化するという常識は、このように必ずしもそうではないケースが多い。
 
 
安定生活の中で、われわれは環境破壊者になっているなどとは、まずもって考えもしない。ところが現実にはわれわれこそが生活の安定、食の保全、重工業発展、光熱需給のためにどんどん森林を伐採させている張本人である。植林事業は国家がいまや保護しなければ風前のともし火になっているといえる。TPPによって関税自由化になると海外の輸入木材はますます増えてゆくが、国内の森林はどんどん衰退する。このときに、農業も林業もそうだが、頭を使った新たな商品を作り出す工夫をする必要がある。例えば製品の高級化を図って中国など海外へブランドとして消費させるなどの工夫である。
 
明治以後の第一次産業保護の歴史にあまんじていては、すでに国内一次産業の滅亡は目に見えているといえる。長らく創意工夫によって考え出す農業や林業をしてこなかったつけだと言える。保護には金がかかる。産業保護にこれからも甘えていくことはもう不可能となった。
 
つまり今後、時代が100年もたてば、TPP以後の時代に、農林水産業が努力したかしなかったかが教科書に載るのである。それが恥の歴史にならぬことを願う。
 
 
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