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言語不通列島日本


全文公開記事。会員制にはまったく別の記事を書いています。



日本はかつて言語不通列島であった。
それは今も大して変わっていない。






出雲言葉の例文

「しろくいはえたし、こびらはふっぱァちけーやなし・・・ももたびらはきりきりしいし・・・えびらはえたし、さんのじはえーたいちかちかすうし、はびははれて、あぎはえたし、みみはしじらになっちょおし、ぼんたくはもたし、よおにとうとこなしでしわァ」
出雲言葉会話集『茶呑ンばなし』より「満身創痍」


なんのこっちゃ?である。



しろくい=踵 かかと
こびら=ふくらはぎ
ふっぱァちけー=発破か?爆発寸前かな?
ももたびら=ももの上部
きりきりしい=きりきりと痛むし
えびら=おしり、腰の上部
えたし=痛いし
さんのじ=肩甲骨の間
えーたい=しょっちゅう
ちかちかしい=痛々しい
はび=歯茎
あぎ=あご
しじら=始終
ふっぱァ=????
ぼんたく=うなじ
もたし=重たい
よおにとうとこなし=まったくいいことがない
でしわァ=ですわあ
もう全部の単語に解釈が必要な言語である。かろうじて文法だけは日本語だ。
????の語は、いくら調べてもなかったから、ほったらかした。誰か意味教えて。

おそらく、この文章を引用した人たちも、全部わかってはいないのだろう。だから引用文で検索しても、完全な訳語がないのである。ネイティブ出雲ニアンに教えてもらうしかあるまい。やれやれ。


大意
かかとは痛いし、ふくらはぎはほんとに腫れあがって爆発寸前やがな。太ももは痛いし、両側の肩甲骨の間などはもう鈍痛。歯茎は腫れあがり痛くて顎骨はぎしぎし。耳は始終耳鳴りがして、首筋が重たい。ほんとにまったくいいとこなしの満身創痍ですわあ。ははははあ!
(氷砂糖さん実にありがとうござんした!)







出雲言葉に比べれば、ケセン語はまだなんとか意味が読み取れる。


用足しさいぐんだれば早ぐあべ!(用事を済ませに出かけるのであれば早く行こう!) 飯食いさいぎゃんすぺ!(ご飯食べに行きましょう!)
今日はまんついっぺしごどしたがらあぐどいでくてわがんね。(今日はいっぱい仕事したからかかとが痛くてしょうがない)
どごだがえんずくてわがんねぇ(体のどこかがいつもと違って調子がよくない)→「えんずい」は標準語に該当語がなく直訳することができない。

文章にすると比較的意味がわかる。
しかし聞き取りではちんぷんかんぷんになる。絢爛豪奢たる訛りと豪徳無二、質実剛健なるズーズー弁なので、こっちは阿鼻叫喚、意味不明、唖然保然となる。この点、出雲言葉は聞いてもわからん、読んでもわからんので、東北弁よりも手ごわい。それはもう茫然自失・安閑絶句・目が点と言うにふさわしいのである。ケセン語というのなら、それよりも出雲のほうが「イズモ語」である。出雲に近いところ産の漫画家・水木しげるは従軍中に、「イバラキ人の言葉は別世界の人の言葉のよう」だったと書いているが、両端の言語はそれどころの騒ぎではない。



鹿児島方言にせよ、アイヌ語にせよ、はたまた琉球言葉にしても、とにかく「日本は世界に冠たる単一民族で、単一言語であり、こんな国など世界中にない」とえらそうにふんぞりかえってくっちゃべっていた麻生大先生とか、「皇紀2000年の単一民族国家や!」と叫んでいる鴻池さんとか、どこが単一言語なのかと聞きたくなる。




これではまるで「言語不通列島日本」ではないか?


考えていただきたい。
日本語の共通語は明治時代に東京の、それまでほとんどだあれも知らなかったせま~~~い土地の言葉を強引に全国不通列島民に押し付けた。やっと明治である。いったいそれ以前、日本語の方言はいったい都の人々に理解できていたんだろうか?と思わないですか?現代でさえ、鹿児島や東北や出雲や九州南部の言葉はわかりにくい。いやいや往古都であった近畿の関西弁でさえ、京都・奈良・大阪・兵庫・和歌山でかなり違いがある。古代から近世、いったい彼らをどうやって意味の通じる民族にして「統一」することに成功したのか、不思議極まりないのである。

ましてあなた、神武天皇などは南九州からやってきたことになっておるが、いったい近畿のどこに「・・・ったい」「ばってん」などの言葉が残存していましょうか?

天武の時代だってちんぷんかんぷんであろう。大和朝廷の全国統一なんぞ、夢物語なんじゃないのか?

飛騨の蝦夷やペルシア博士を同時に饗宴した飛鳥時代の皇極や称徳女帝もいたのだが、言語の天才だったんだろうか?地味だが、熊襲、出雲、蝦夷と並んでまつろわなかったのが飛騨地方である。両面宿儺という魔物がいたことにされている。当然、言葉は蝦夷言葉だ。通訳がたくさんいたに違いない。



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この金田一春彦方言区分地図を先日はりつけた。

九州の人は「おや?」と感じたはずだ。
なぜ九州一の大都会の博多の言葉が、熊襲と同じ地域に入れられているのかと不満なのではないか?

しかし、ほかの地域の人から見れば、熊本ベンも博多弁も、鹿児島ベンも日向言葉も、九州ベンで同じに聞こえるのである。
大分・豊前だけが違うから、東京へ行くとかえってけげんな顔をされる。「あれ?九州のなまりがないですねえ!!」って。イントネーションとアクセントがなまらないからだ。(単語にはかなりの古語由来のアクがあるのだが気づかないようだ。うさぎ、いちごなどが違う。関東は「う」「い」が低く「さ」「ち」が高い右肩上がりであるが、西日本では頭が高く、尻が低くなる右肩下がりの名詞が多い。)



筆者Kawakatuなどは方言バイリンガルなので、関西弁も、九州ベンも、標準語も、べらんめいも、落語をしゃべれるほどに使い分けることができます。言語の天才か?
ただ器用なだけでしょう?



ひとつ単一言語だと言いたいなら、文法だけは同じだということになるのだが、この文法はテュルク系言語(トルコ~韓国・モンゴル)の特色であって日本語だけのものではない。


自民党さん、日本人は単一民族ではない。むしろ単一単純頭脳なのはあなたがたの右派だけだと言っておく。そういうことで集団的自衛権を持ちたいというのなら賛成しませんよ、自衛権。それとこれとを別けられない子供頭脳にはこの国は託せまっしぇんby Kawakatu。




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