前漢式・後漢式・唐式の中国鏡は概して、錫を20~25%も含有させる特徴を持つ。白く輝くので白銅鏡と言い、非常に割れたり欠けたりしやすい鏡である。
青銅鏡は錫の含有量が5~10%程度で、出来上がった当初はちょうど10円銅貨のように赤銅色に輝くが、やがてさびると青みがかり、映りが悪い。それで鏡面に錫メッキする技法が生まれた。
白銅鏡と青銅鏡の見分け方は踏み割ろうとして、割れる、曲がるで見分けることができる。白銅鏡はガラスか氷のように割れるが、青銅鏡はねばりがあって相当な力でないと、まずは曲がるだけで、容易には割れない。
出土状態で、青銅鏡は土圧によってでこぼこ波打っていることがあるが、白銅鏡はそういうことがないかわりに、大概が破砕されている。つまり白銅鏡は実用に耐えにくい鏡で、例えば榊にかけるとか、首からさげるとかには不向きであると言える。
鉛の含有率はどちらもほぼ5%前後、鉛は銅と錫のつなぎ役で、粒子の隙間を埋める役目を持っている。また溶けた鋳物を鋳型に流しこむ際には、粘り気をなくして流しやすくする。文様も鮮明になり、鋳造の欠陥を軽減する。さらに鉛は鋳型のほうへも吸い込まれて密着性を高めるという効能がある。
そのほかに銅鏡には砒素やアンチモンなどを加えてあり、微量元素として確認されており、これが製作地や製作年代決定の手がかりになる。坩堝から放出されるカルシウムや珪素、素材に含まれる鉄などの不純物も微量元素として検出される。これらは鋳造欠陥や失敗の原因になるので、これをとりのぞく手法として、鋳造前に坩堝にワラなどを投入し絡める手法がある。そのためにたまさかリンが検出されることがある。
熱した鋳型に溶けた銅を流し込むと、一瞬で固体となる。素材の混ざり具合が不均一だったり、粘り気があったりするとひずみや欠陥が生じる。沸騰した湯が気泡をあげて煮立つように、銅も沸きあがれば気泡が発生し、鋳込みはうまくいかない。つまり気泡を抜けさせる道を設定してやらねばならない。石型鋳造だけでは気泡が鋳型に吸収されにくく、これでは模様が不鮮明になってしまう。それを克服するのが中国製やぼう製鏡の大半に使われた真土(まね)型鋳型だ。
真土とは粘土になっていない細かい砂である。砂なのでどんどん気泡を吸収する穴がたくさんある。石型の内側に真土で鋳型をつくる。これを用いると上記のような失敗が減り、同はん鏡(コピーや孫コピー)であっても模様のくっきりした製品が仕上がるのである。しかし砂であるために遺物として真土部分は残存しないので、地域特定の決め手にはならない。
こうした分析から言えることは、日本の青銅鏡の大半、例えば三角縁神獣鏡などもそうであるが、真土型鋳型を使っているとは言えず、いずれも鮮明な模様を持ってはいない。三角物神獣鏡の製作論争で、鋳型の発見を鍵にする意見もあるが、ほとんどは真土型鋳型の実態からかけはなれた製品と鋳型ばかりである。つまり神獣鏡はまずもって中国で作られたものではないことが明白である。
近畿の考古学はこういう明白なことを書かないものが多いので困る。
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