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Channel: 民族学伝承ひろいあげ辞典
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地名いび、いぼと安曇族

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いびつ(歪)・・・語源「飯櫃 いひびつ」。楕円形で真円ではない様。おひつの形状から。ゆがんでいる様。正常ではない様。完璧ではない様。
いび(揖斐)・・・岐阜県揖斐川由来。とはいうものの、では肝心の「いび」とは何かが問題。
いびしい(歪しい)・・・いびつで気味が悪い様の瀬戸内(広島・大分など)方言。古語「いびし」から。
いびる・・・古語「焙り焼く」こと。現代語、じりじりといじめる歪なる行為。
いびき・・・歪な音。
いぼ(疣)・・・いびつな吹き出物。
いぼ(揖保)・・・旧地名音「いいぼ」。風土記「粒山」=いいぼやま から。
いぼみず・じんじゃ(疣水神社)・・・大阪府茨木市の神社。安曇の始祖・磯良(いそら)と神功皇后を祭る。疣水とは、醜い疣がこの神社の湧き水でぬぐえば綺麗になるから(本来社伝によれば真逆で、ここの水で疣だらけになったのをここの神が救ったとある)。安曇磯良は筑紫玄界灘の海人族の伝説上の始祖だが、容貌、磯のふじつぼの張り付く、髪は海の藻が垂れ下がる醜悪な姿だったと言う。そこから磯の岩礁の神格化で、歪なる者。ここに「いび」「いぼ」の語源は求めることが可能であろうと、疣水と揖斐・揖保をつなごうとした谷川健一以来の考え方を拡大解釈できそうである。共通するのは岐阜も筑紫も摂津も瀬戸内も安曇系海人族の拠点だったことであり、神功皇后伝承もおそらくそこから作られたであろうことから。

このようにしてランダムに記憶してきた地名が、ある方程式で、ある日突然、ふとつないでくれたりもする。だから、伝聞はおざなりに聞き流してはならないし、著作もおざなりに読んではならない。人間の脳の記憶は、そういう一瞬のスパークを突然可能にする。まるで火花だ。テレビなんぞもそういうひらめきを与えてくれる。火野正平が歴史的興味など一切なく、つまりなんの先入観もなく、しかし積み重ねてきた勘と人生からふと通り過ぎてゆく景色の中に、たまにとんでもないヒント、天啓がやってくることもある。今日、彼が走っていたのは岐阜県揖斐川沿線であった。

ぼんやりテレビ見てちゃだめよ~~~









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