穴掘り考古学
まともな考古学ファンなら聞いたことがない言葉だと思う。
矛盾した言葉であるが、筆者が昨年、とある自称研究者からはじめて聞かされて、耳にたこができた言葉である。
なにが矛盾するか?
考古学とは穴を掘るものだからである。
つまりこの言葉を乱発したこの研究者にとって、「穴掘り」に侮蔑をこめたい意向が垣間見える。
彼の研究志向では、「考古学は信用しない」がある。と自分で申されていたから間違いあるまい。
だが考古学という科学的な学問が実はその対象ではなく、彼にとってはおそらく「考古学者の解釈」が気に入らないのであろう。
発掘の結果はただの客観的事象のひとつに過ぎない。それをどう解釈するかに人間のいろいろな考え方が影響する。それが気に入らないらしい。それはそれで正しい。筆者もそう思う。しかし発掘を穴掘りとさげずむ意味はわからない。発掘結果という客観的な「事物」=モノに対して、それは最初から「嫌いだ」という先入観を与えただけの身勝手な捉え方に過ぎない。
この際はっきり言わねばならないことは、そんな人間に歴史の深淵がのぞけるはずがないということだけである。
穴を掘り、そこから結果が得られた。それだけでもわれわれ研究者・好事家には素晴らしいアイデアをもたらしてくれる。がんばれ!考古学。