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斎藤成也 核DNA ゲノム 縄文人は東南アジア人でも東アジア人でもなくオリジナルアジア人

検索キーワード:斎藤成也 核DNA ゲノム 縄文人

斉藤成也
縄文時代人の核ゲノム塩基配列
国立遺伝学研究所 集団遺伝研究部門
総合研究大学院大学 生命科学研究科 遺伝学専攻
「核ゲノム全体に散在している数十万のSNP座位における対立遺伝子情報をもちいて,これら3集団からサンプルした各個体間および世界の他地域の人間の遺伝的近縁関係を推定。アイヌ人とヤマト人については,これら2集団が混血をはじめた時期を西暦6世紀と推定し,また集団間で特に大きな対立遺伝子頻度の差があるゲノム領域のなかに,形態的表現型に関与する遺伝子が含まれていることをみいだした。一方,現代日本列島人にゲノムが引き継がれたと考えられている縄文時代人の核ゲノム塩基配列の一部をはじめて決定し,縄文人が東ユーラシアの中できわめて特異な系統に位置づけられることを発見しました.」
www.molbiol.saitama-u.ac.jp/pdf/141217poster.pdf

SNP=一塩基多型
「 ある生物種集団のゲノム塩基配列中に一塩基が変異した多様性が見られ、その変異が集団内で1%以上の頻度で見られる時、これを一塩基多型(いちえんき・たけい、SNP : Single Nucleotide Polymorphism)と呼ぶ。従って、対立遺伝子頻度がこれより低いときに使用するのは基本的に誤りで、そのような物は突然変異と呼ばれる(参照:多型)。ある一つの塩基が別の塩基に置換されて起きるため、一つのSNPには置換前と置換後の二種類の対立遺伝子しか見つからないことが多い。が、まれに3から4個の対立遺伝子があるSNPもある。複数形でSNPs(スニップスと発音)と呼ばれることもある。SNPの起源は中立進化説がいうように、種の分化後にランダムに発生したものだと考えられている。」
WikiSNP

NHK サイエンスゼロhttp://www.nhk.or.jp/zero/


※要約 サイエンスZERO「日本人のルーツ発見!核DNA解析が解き明かす縄文人」▽オジリナルDNA「縄文人」とは【2016年4月3日(日)NHK Eテレ放送まとめ】
http://yonta64.hatenablog.com/entry/zero/2016-0403-%E7%B8%84%E6%96%87%E4%BA%BA%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%84


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イメージ 1



斉藤教授の使ったサンプルは、縄文末期(3000年前ほど)の男女遺骨の歯である。この内部に残存していたDNAの中で、これまでなされてきやY染色体や母系のmtDNAではなく核ゲノムDNAだけを抽出することに成功した。これは快挙。斉藤研究室ではこれに先立ってMISHIMAと名づけられた核ゲノム分離機を完成させていた。今回の分析はこのMISHIMAあってこそである。核DNAは1細胞にひとつしか存在せず、これまでそのサンプル採集が非常に困難であった。そこで斉藤教授は日本列島の寒冷地ならば、細胞の劣化が少ないと推測し、東北縄文人を選んだところ、DNAそのものはやはりかなりばらばらになったうえに、歯の中に寄生していたバクテリアのDNAも混在していた。これを丹念に仕分けし、ヒトのものだけを抽出して並べる作業が若い助手の手で行われた。

myDNA分析に関して筆者は、サンプル数の少なさやミトコンドリア内部のDNAでは母方しかわからないということを指摘してきた。しかし核DNAならばその個体すべての祖先が全部受け継がれた塩基データが30億個も採取できる。mtDNAの何十倍ものデータである。

その後、東北、北海道の各地でも、この成功に刺激された縄文人DNA分析が行われ、その結果、やはり予想通り、縄文人にも地域によって数種類の違いが見られた。つまり縄文人も一種類ではなかったという結果である。

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問題は、もっと初期縄文人、そして西日本までに及ぶサンプル収集によるデータの淘汰が必要である。いずれにせよ、今回の結果からは、少なくとも末期東北縄文人の核DNAからは、縄文人は東南アジア、東アジア人が、分岐する以前に、同じ汎アジア原種から先に分岐したもので、これは日本の縄文人だけのものとわかった。縄文人が北方ステップルートからではなく、ヒマラヤの南側を通ってやってきた南方系だったことも明確になった。

その縄文の血脈は、現代日本人の中に20パーセントの割合で残存。これまでのmtDNAでは10数パーセントに過ぎないとされてきた分析結果を書き換えた。そしてmtのバイカル湖起源説も白紙に戻す結果となった。
要するに日本の縄文人は中国の華北人や華南人、朝鮮民族や東南アジア人よりも早くアジア原種から分岐した、独立した謎の血脈だったとなる。つまりより原種に近いということだろう。なぜそうなったかはまだわからない。その後、弥生時代直前までに複数のアジアからの来訪者があって、これらが混血。その結果遺伝子の20%に縄文末期人の特徴が残ったとなる。つまりあらゆるアジア人の中で、日本人だけは特殊となる。

すべて筆者の予想に近い結果となった。

mtDNA研究の第一人者だった篠田謙一教授は、この数年前から、人類学者らの疑問に答える形で核ゲノム分析の必要性を著作に著しているが、斉藤教授の分析が彼のmtDNA分析や、Y染色体分析を上回る成果であることを認めている。あとはより多いデータと弥生人、旧石器人の詳細分析が出るまで、わくわくしながらわれわれは待てばよい。ただし日本の土壌ではなかなかサンプルは出てこないだろうが。また、おまけとして、日本人の外見上のさまざまの遺伝子が、思ったより縄文人から受け継がれていることも面白い。これは化粧品メーカー研究室の発見したものである。しみそばかすが多いヒトは縄文の血が残ったヒトらしい。また直毛は弥生系渡来人の、くせ毛は縄文系らしい。

最後に言っておくべきことは、これらはまだあくまでも途中経過でしかないことだ。常に化学の発見は慎重に判断し、決して大喜びしてはなるまい。それに今回、渡来系の分析では中国人(江南・漢・現代南方漢民族)やベトナム人はあっても朝鮮民族のデータがないのも気になった。



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