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Channel: 民族学伝承ひろいあげ辞典
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枚方市津島野は対馬野・淀川の九州由来地名

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淀川の摂津三島地区には筑紫津(つくしづ)があって筑紫津神社があるように、枚方側には対馬津があって津島部神社があった。継体大王が樟葉宮を建てた枚方市町樟葉(まちくずは)に津島野地名が残っている。樟葉から八幡市を古くは津島野=対馬野と呼んでいたらしく、かつての茨田郡だった守口市には津島部神社があって、女神と菅原道真などを祭ってある。(『継体天皇の時代』「淀川と継体大王」森田克行      2008 )

菅原道真は樟葉の交野天神社でも祭られるいわゆる土師氏、部民たちの祖先神であるから、これらの神社が淀川沿線に古くから住んでいた菅原=土師部たちが祭る神社だとわかり、「対馬」地名もそこから出たとなるだろう。ということは土師氏らにとって対馬は大事な土地だったということになるから、彼らが埴輪製作でやってくるときに半島から対馬を経由したことは間違いあるまい。記紀では野見宿祢が彼らを出雲から呼び寄せたことになっていて、大和では三輪山の麓の、三輪素麺で有名な穴師あたりに珠城山(たまきやま)古墳群があり、その近くに宿禰と当麻ケハヤが相撲をとった相撲神社がある。

交野天神社は、今は天神社としてよりも継体天皇樟葉宮址として有名になったが、そもそもそこがそうだったかどうかは定かではない。ただ、平潟(枚方)津から樟葉津にかけてのここが、荷を水揚げしやすい地形だったことは間違いなく、継体が樟葉に最初に宮を建てた理由もそこだっただろうと思える。


町樟葉、つまり京阪電車樟葉駅前のモール街を光交差点方面へ向かい、裏道に入ると公園があり、そこに交野天神社はある。住んでいたし、のちにも何度か参っている。

男山の南側が枚方丘陵の切れ目になっており、峠を降りると八幡市女郎花になる。松花堂跡があって、弁当の発祥地で有名だ。角が八幡警察署だったか、八幡中央病院だったか、もう忘れた。八幡は岩清水八幡造営後から、多くの宮大工や職人、芸能・漂泊民たちの住処となっていった。


この岩清水八幡宮の祭祀に関わるのが紀伊郡の紀氏である。
先に、阿蘇石棺運搬に関わった氏族は、その運ばれた道程の津や港の氏族であるむね書いたが、まさに紀氏等も九州から運送に関わったと、和田萃は言っている。


阿蘇石石棺は三種類の産地があり、それぞれ時代と地域を異にする。

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4世紀末~5世紀 菊池川産阿蘇灰色石 求めたのは倭王後半時代の河内の臣下氏族と吉備、四国の同族たち。前方後円墳の培塚氏族に。切り出したのは阿蘇の火中君、玉名市日置(ひき)神社の石切部たち。運んだのは紀部、的臣たちだろうと、前回数年前の阿蘇石分析で推論した。日置は引きで、三回ほど足を運んだ。五王時代の九州管理氏族は靫負大伴連であり、その下に紀氏や日下部弓連などがいた。


5世紀~6世紀 宇土産阿蘇ピンク石 継体、息長、三尾、三上関係氏族と藤井寺の氏族。運んだのは火葦北国造(吉備下道臣=吉備王家子孫)と、のちには蘇我氏・推古の部出ある額田部。方墳の時代。藤井寺氏族はのちの蘇我氏関係だろう。葛城・紀氏・巨勢なども。

終末期  氷川産阿蘇石

時代を通じて土師氏、土師部は埴輪で関わっている。
そして今回の対馬地名ではずせなくなったのが山背の壱岐氏である。この氏族、きっとどこかで息長氏の元に関係したはず。安曇族や宗像、小野・和邇とともに、三世紀からの海運産業の中心人物だ。


さて、ワニだが、この言葉はサメ・フカの意味があるけれど、一番は船である。船をフカとも言ったはずだ。出雲の白兎神話で、フカを並べて跳んで渡ったというのは、古代の艀=浮き橋=舟つなぎ状態を指している。ワニ氏は船氏の元だ。



往古に書いたフナ釘と河川遡上のことを少し訂正しておきたい。
古墳時代の船にはフナ釘は使っていないという。すべてゆわえつけているという。あるいは縄文時代からすでにあった「ほぞ穴」などの和式連結方法も使ったかも知れない。しかしそうなると古墳時代に、まだ倭国には簡易製鉄がなかったか?

重製鉄と、簡易製鉄は、普通、どう考えても簡易のほうが先に生まれるか、渡来したと考えがちになるが、その加工品の優先性のほうが、実はあらゆる時代の産業には契機になっている。つまり剣やらの武器のほうが優先してくれば、当然、先に鉄鉱石使用の重製鉄技術が伝来するという順番だ。で、3世紀にすでに倭が伽耶の鉄をとっていると魏志は書いたわけだろう。それは加工されたインゴットである。









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