月がどうやって生まれたには諸説がある。
最近有名なのがジャイアント・インパクト説。
原始惑星ティアが地球に衝突して、その衝撃で地球から大量の地殻とマントルが飛び出し蒸発して固まり月となったという説だ。
その根拠は、アポロが持ち帰った月の石の分析。
地球と月の成分に、ほとんど変わりがないという結果からだ。
地球には鉄やニッケルなどの重い金属が中心に集まる核があるが、月にそれはないかわりに、地表の岩石は地球とまったく同じものでできており、金属核は地球の3%に過ぎない。これは説を裏付ける。
さらに地球の地軸の23度の傾きも、ティア衝突のせいだという裏づけに。
だが、月の石の同位体元素が地球とまったく同じと言うのは、逆の説にも有利。
星の同位体成分は、星によってすべて割合が異なる。ティアが合体して、どれほどの同位体が地球の同位体と合体したかはわからない。ところが、にも関わらず、月と地球の同位体が同じというのは、奇妙である。
説明しようとすると、つきあたったティアがやってきて突き当たる、正反対側の地球から、月が飛び出し生まれたと考えるとそれはまず解消する?
地球は月を引力で引っ張って、そのために自転公転を遅くしてきた。その様子は、ちょうどハンマー投げのハンマーようなことになる。砲丸にチェーンがついたものがハンマーで、引力はチェーンに当たる。選手がハンマーをより遠くに飛ばそうと、ぐるぐる回ると、チェーンには加速度的にひっぱる引力がかかる。しかし月と地球の間にチェーンはないから、月はそれにともなって遠心力でどんどん遠くへ離れようとする。現在、年に3.8cm、月は地球から遠ざかっている。
これは逆に考えると、地球から見えた太古の月は、今よりずっと近くにあり、色も真っ赤だった可能性が考えられる。すると夜は夕方のような薄暗さだったわけだ。
地球で最古の岩石は、42億8000年前のものとされている。月の最古の石にはそれより古いものが存在する(最古の調査石は45億年前)。ジャイアント・インパクトが起きるならそれ以前と言うことになる。地球は誕生して45億5000年ほどだから、生まれてからたったの5000万年間に、ティアになる星が突き当たったことになる。