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あさましきもの 枕草子


枕草子93段
あさましきもの
 

 人のために恥づかしうあしきことを、つつみもなく言ひゐたる。かならず来なむと思ふ人を、夜一夜起き明し待ちて、暁がたに、いささかうち忘れて寝入りにけるに、烏のいと近く、かかと鳴くに、うち見上げたれば、昼になりにける、いみじうあさまし。
 見すまじき人に、ほかへ持て行く文見せたる。無下に知らず見ぬことを、人のさし向ひて、あらがはすべくもあらず言ひたる。物うちこぼしたるここち、いとあさまし。




人が恥ずかしくなるような悪口を、遠慮もせずに言っているある政党から逃げてきた人々。必ず来るだろうという女を、一晩中、起き明かして待って、明け方になって少し忘れてしまって、寝入ってしまったところ、内部で敵対してはずのものどもがビッグになっていったことがとても近くでカーカーと鳴くので、空を見上げたら、もう昼になってしまっている、とても情けない。




いずれも、ともにどちらとも決めかね、どうしようもなく時を過ごしてきたことを忘れ、そこから救い上げてくれた人の恩はすぐに忘れて、あまつさえ、その人を、見下ろし、見下げ、弱ったを幸いに、攻め立て、やれ蘇我入鹿よと、それを追いやろうとする。あさまし。救いがたきを、救うことの慈悲に気付かず、あたかもおのれを、神の孤高にあるものと思い、その実、自らこそが民人に、そのあさましきをあぶりだされているに気付かぬ。


死ねばいいのに。

































 

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