「雲一つない四月の払暁、まだ明けやらぬ東雲(しののめ)の、物の影さえおぼろに透いて見える仄暗がりの中に、彼はふたたび故国の山々を仰ぎ見た――インクを流したようなくらい海の環の中から、紫を帯びた薄墨色でそびえ立ち、空の彼方を高く鮮やかに画(かぎ)っている故山を、彼は眺めたのである。長い流浪の旅から今、彼を乗せて故国へ急ぐ汽船の後ろには、刻一刻、バラ色の炎となって静かに染めなされていく水平線があった。
甲板の上には、すでに幾人かの外人たちが太平洋の荒波の上から富士の麗容を一見に及ぼうと、しびれを切らしながら待っていた。早朝に見る富士の初姿こそは何といっても、この世はおろか、あの世までも忘れられない眺めの一つである。外人たちはしばらくそうして延々と連なる山並みを眺め入っていた。仄暗い大空にノコギリの歯のような頂きをもたげている山々の向こうには、よく見ると、まだ小さな星影が微かに光っているのが見える。――しかし、富士はまだ見えない。
外人たちは尋ねてみた。すると、船員は笑いながら答えた。「ああ、あなた方は目のつけどころが低すぎるんですよ。もっと上をごらんなさい。もっと高いところを」。そこで外人たちは空の真ん中まで目を上げてみた。すると、曙のときめく色の中に、妖しい幻の蓮の花弁が開きでもしたような、薄桃色に彩られた大きな山頂が、はっきりと見えた。」
小泉八雲「ある保守主義者」(『心』所収)
小泉八雲「ある保守主義者」(『心』所収)
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海上から富士を見るならあたりのなだらかな山々ではなく、そのもっと上を見よ・・・。
雲を見たければ空を見よ。
星を見たければ夜空の向こうを見よ
神を見たければ・・・
もっと高く、もっと広く、もっと外へあなたの目を無限に見開け。
そうすればそこに神が見えるはずだ。
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Providence of the Universe is just GOD.
旧約聖書「創世記」第1章 ・・・
神は初めに天と地を創造された ・・・ それから神は言われた、光あれ ・・・
つまり、宇宙誕生は神の手によると聖書は言ってきた。
果たしてそうなのだろうか?
果たしてそうなのだろうか?
人類が生み出した神という存在・概念・観念は宇宙すら作り出すほどのものなのだろうか?
いや、すべての宗教と信仰が考える神と、実際の摂理とは、そもそも最初から別々のものではないか。
宗教と信仰が言う神は実は本当の神ではない。
「現代の物理学は、宇宙の創造において神の場所を与えない」 W・ホーキング
ホーキング博士は、米国の物理学者レナード・ムロディナウとの共著で、9日出版の新刊書で、「宇宙は混沌(chaos)から生まれるのではなく、神によって創造されたに違いない」というニュートンの信念を打ち砕く。ホーキング博士は、「最初の一撃は92年、太陽とは違う星を回っている惑星が、観測されたことだ。これにより、地球という惑星が持っている条件の絶妙な一致、つまり一つの太陽、そして、太陽から地球までの距離と太陽の質量の運の良い結合という条件が、地球が人間のためにデザインされたという証拠としては、過去よりも重要ではなくなった」と主張した。さらに「地球のような惑星だけでなく、別の宇宙も存在する可能性がある」と強調した。SEPTEMBER 03, 2010 03:05
そう、宇宙は神が創造したのではない。
むしろ、宇宙自身が宇宙を創造していく存在・・・つまりProvidence of the Universe is just GOD.
宇宙の摂理こそが唯一絶対の神なのではないだろうかとKawakatuは思う。
では次の問題として、では宇宙はいつ生まれたのか、言い換えるとこの世界の時間とはいつ動き始めたかという、到達不可能に近い命題が生じてくる。宇宙を生んだ神がいるのおではないのか?そのときクロノスも生まれたのではなかろうか?
一般に、宇宙誕生の瞬間は、137億年前に起こった宇宙大爆発(ビッグバン)とされている。では、宇宙誕生の1秒前は?誰でも思いつきそうだが、専門家も即答できない恐ろしい質問なのだ。
「ここで不用意に、「1秒前は無だった}などと答えると、さらにやっかいな問題が発生する。現在宇宙に存在する膨大なエネルギーと物質が、宇宙誕生の瞬間に、突然湧き出たことになるからだ。こんなとてつもない物量が、一体どこから湧き出たというのだ?
このような不連続は、数学の世界では特異点と呼ばれ、科学者たちを悩ます。というのも、特異点が存在するということは、その世界が自己完結していない「不完全な世界」を意味するからだ。つまり、この世界とは別の世界が存在し、それがこの世界に影響を与えている。」
将来のことはわからない。特異点以前が解明されたらまた考えればよい。今、この時点で、やはり地球上のすべての生命にとって神とは宇宙であり、それが作り出してくれた摂理によってわれわれが生かされていることは間違いない。ということは神とは宇宙とは母親でもある。その母親の母親のことはまだ誰も知らないのである。そして人類にとって一番身近な生みの親とは地球にほかならない。
人類の考え出してきた神の概念と、科学が解明しつつある神の時空には、のっけから考え方に違いがある。受容・享受するだけの想像上の主観的存在と、解明され分析されていく客観的事実。この違いに気づかない人がほとんどである。
ところがその神としての宇宙が持っている摂理という言葉を使えば、宇宙誕生以前すら、これにより生まれたのだと言うことが可能になる。人類の考え付く単位の中で最大のものを宇宙とするならば、その摂理はさらに遠大な単位であることになる。
従って神=宇宙の摂理、これがぼくが考える結論になった。
従って神=宇宙の摂理、これがぼくが考える結論になった。
神は広大無辺で、わたしたちはあまりにも小さい。