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古田史学分析結語/邪馬台国を霧の彼方に押し込めたのは誰か?

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◆昨今の古田史観是認論
 
水野祐(早稲田大学史学)
『ゼミナール・日本古代史 邪馬台国を中心に』 (1979年) 上田 正昭編の中で
九州と大和に系属を異にした二つの国家が並立していたとみることは、非常に都合よく解釈ができる部分はあることは認められる。従来の大和中心主義史観にとらわれないで、自由に地域性を認めて古代史を検討することは確かに正しい方法にちがいない。
 
沈 仁安(中国北京大学歴史学部)
『中国から見た日本の古代-新しい古代像を探る』共著 藤田 友治  (翻訳) 藤田 美代子  古田 武彦 2003年ミネルヴァ
古田武彦らの九州王朝説も伝統的観点への挑戦だと言える。倭国に関する中国史書の記事は、一世紀の倭奴国からはじまり、二世紀の倭国王帥升(すいしょう)等、三世紀の邪馬台(壱)国、七世紀の隋書の俀国(たいこく)と旧唐書の倭国に至るまで連綿と続く九州王朝の歴史であるが、『記紀』に掲載されているのは大和王朝の歴史である。神武天皇は九州王朝の傍系であったが、志を得ず、東方に新天地を求め、大和に定住し、その子孫が強大な大和王朝を建立した。継体天皇は磐井国に遠征し、九州王朝を大和王朝の下に隷属させ、以後九州王朝は衰亡の一途をたどった。七世紀に大和王朝は隋唐の制度を学び律令国家に変貌した。8世紀初め傍系の大和王朝は、ついに連綿と続いてきた本流の九州王朝を併呑し、中国唐朝の承認を得るに到った。『旧唐書・倭国日本国伝』から中国の正史の書き方も一変し、中国の『新唐書・日本国伝』の内容は日本の『記紀』と一致している。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

現在の古田武彦への一般的解釈は以下の引用のようなものではなかろうか。
「今は誰も、津田左右吉の『記紀』文献批判学を重要視していないが、
又、忘れているようだが、彼の問題提起は、いまだに終わっていないのだ。

 そして、津田左右吉の『記紀』文献批判学を未完成に終わらせないためには、
古田は当時の邪馬台国論争で、まず、大和説を徹底的に「魏志倭人伝」で
潰す活動をすべきだったのだ。彼の著作『邪馬台国はなかった』は九州説には
ほとんど従来の説を超えるものではなかったからである。
 
   邪馬台国論争は「魏志倭人伝」の問題であり、『記紀』などで論じるのは邪道であった。
 あくまで、陳寿の「魏志倭人伝」が原点であったのだから。
 古田武彦の罪であるが、古田武彦の拙速、性急な動きは反って『記紀』に束縛されずに
謎といわれた古代日本を解明するという日本歴史学のおおきな命題を
忘れさせうやむやにしてしまったことにある。

 そして、古田が世に出てより、「魏志倭人伝」の取扱いは、実は、反って、
記述内容は「あやふやで信用おけない。陳寿は適当に記述した」などの解釈が
多くもなっていった。(改竄問題が余りにも主題になりすぎ、翻訳が進まなかったのだ。)
 それが、邪馬台国論争での安本美典などの『記紀』への里帰りなどである。
 古田のうぬぼれや暴慢さが、焦りが、実は、時期尚早の『失われた九州王朝』
を生んでしまった。 そして、三世紀から六世紀頃の古代日本の解明には
かなりの障害を古田はもたらしてもいたのである。
 
  しかし、古田の功績は少なからずあった。彼は日本の歴史学、学会に対して
多くの問題提起をして、一部では日本歴史学、考古学の命題を論じ、
ひとびとを日本の古代に目を向かわせたことである。
 そして、日本の歴史学の後進性、未熟性をある意味では世に知らしめた。
これらの功績は、我々は素直に認めなければならない。

 そして、細部では彼の「魏志倭人伝」などの史料解読は多くの過ちもあるのだが、
彼の戦後における古代日本に関する日本歴史学に対する批判精神とその葛藤、
そして、その戦いの努力は正当に評価され再考されるべきでもある。
 但し、近年の古田武彦の『東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)』問題の
取り組みには弁解の余地はなさそうである。」
http://pub.ne.jp/mcxyc397/?entry_id=4634071

功罪はある。
いいところは敢然と大和・『日本書紀』中心の大和至上主義史学へ立ち向かったこと。
九州王朝という言葉を世間に知らしめたこと、世間に邪馬台国論争を提示したことである。
悪いところは、あまりにも対大和史学に走ったために、彼が言うところの「多元的歴史観」とはうらはらに、九州王朝一元化へ向かいすぎ、結局は論争を混乱させ、『魏志倭人伝』の信憑性を落としてしまい、極論を展開しすぎたところである。

これは九州の正しい歴史・考古学を知ろうとする、引いては日本古代史を平等に見ていこうとする真の多元的歴史観を求めるファンをして、古田では性急過ぎ、極論を言い過ぎると誤解させてしまうことになった。
アンチテーゼに走りすぎ、ある時点で、公平な歴史観を見失ってしまったことに、本人が気付かない、あるいは周囲のシンパシーが気付かせない状況に追い込んだとも言えるかも知れない。
九州王朝はあったのは間違いないだろう。その発掘による大和を完全に上回る前1~後1.5世紀のあいだの遺物の次元の高さから、それは誰の目にもあきらかだ。しかしながら大和学者の方もまた、あまりにも大和を擁護し過ぎ、2世紀後半から3世紀の発掘を急がせ、そして古墳時代を繰り上げることに躍起になり過ぎた。互いが協調できる部分を探らずに、ただやみくもに互いを無視し、歩み寄らなかった。これは世間の邪馬台国、古代史ファンをかえって古代から遠ざける結果を招く。日本史学の多大な損失である。
結果的に古田は内部破壊を起こし、偽書研究に道を誤ったと言えるかも知れない。偽書研究は史学の中のダークサイドに過ぎない。それは学者が正統に手がける仕事ではなく、むしろ作家の仕事、ファンタジーの世界である。
 
彼を孤立させた功罪は古代史ファンにもないとは言えまい。
日本の歴史学はまだあまりにも未熟であると言える。

今後は、ファンが古田のよい部分を取り込み、今の日本古代史は大和至上主義、『日本書紀』至上主義であることを言い続けていくことであろう。これまでの既成の京大中心でやってきた古代史は、藤田が言うとおり、これからますます完膚なきまでに批判されなければならない。大和に先行した先進地であった北部九州で、なぜ記紀のような史書が失われ、後世偽書がいくつも書かれてしまうことになったかを考えて見れば、その原因は地方の正しい歴史観を、大和朝廷の為政者が政治的に切り捨てる、隠匿するという流れになったのは当然のことではあるまいか?
 
九州王朝が日本海側の王家(出雲・丹後・越王朝)や、瀬戸内・四国・関東・東海との連携を持とうとし、列島的視野で倭国を共立していこうとしたことは遺物の類似、祭祀の類似から見出さなければならない。それは3世紀以後の大和もそうだった。協力体制を増やすことこそが共立国家への早道である。そのために両者が別々に中国北朝と南朝へTPOでそれぞれ朝貢するのはこれまた当然のことだったのである。
今の朝鮮と韓国を見れば、それが歴史の必然であることは誰にでも見えるはずだ。
 
もし邪馬台国が九州をいち早く飛び出したある一派・・・たとえばありそうなのが伊都国の甕棺氏族であるが・・・が大和で新規に作り上げた新国家であったとしたならば、なぜ飛び出すのか、なぜその後手を組まなかったのか?は分析しつくさねばならない。

なぜ倭人伝は全行程距離を最後に書いているのに、その内訳が不弥国以後合わなくなるように書かねばならなかったか?これも重要である。なんらかの政情がそうさせたと考えるのが当然ではないか?
百済が滅びる前に、何度も列島為政者に援助を求めている。その相手がどちらの王朝だったのか。これもTPOで考えねばならない問題である。ある政情のもとでは九州へ、別の場合には大和へ、そういう細かい分析をせねばならない。つまりフェアに考察していくのが歴史学ではないのか?そう古代史ファンは最も言いたいはずである。
 
大和と九州が反駁しあい、言い合うような歴史研究など誰ものぞんではいない。
誰もが本当の歴史を知りたいだけなのである。
 

いずれにせよ、無駄な論争が結局邪馬台国を霧の中に押し込めている。
そうしたのは大和・九州双方の学者自身である。
 
簡単であったはずのものを、両方の意地の張り合いという次元の低さが、わかりにくくするばかりである。
小手先で時代区分を勝手に早め、都合に合わせて、気分次第で、ファンを、いや日本人全体を無視し、科学的年代法を都合よく動かし、歴史という楽しい夢を独占し、しろうとを追い出し、つまり国民をないがしろにして日本の歴史学は右往左往しているばかりである。まったくバカにした話で、税金のぼったくり、墓荒らしの泥棒猫のような存在。
 
国家予算=血税を食い物にし、いつまでたっても結論が出せず、役にも立たない人々。そう言われたいのだろうか?このままでは生活保護者以下だと言われても仕方がないではないか。
 
答えが出せない先生など、先生ではない。ただの遺跡私物屋でしかないのだ。
 
 
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