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古墳時代/時代用語の不備について

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『古墳時代』は弥生時代から奈良時代までの間に置かれる歴史専門用語で、古墳が作られた時代すべてを言う言葉だが、教科書ではあまり使われていない時代だった。最近はやっと認知されたような気配。

学校では縄文・弥生ときて、あいだがなくて飛鳥時代、奈良時代、平安時代までが古代となり、清盛からが中世になることが多い。しかし、最近はこれえもかなりおかしく感じられるようになった。

古墳時代という区分も奇妙で、お墓の形式で時代区分されてしまっているが、その古墳にも大古墳もあれば中小古墳、横穴墓もあるし、それらが全部で数万基もあるうえに、無数の横穴までもすべ「古墳時代」に作られているわけだ。すると黎明期は弥生時代後期後半にひっかかるようになったし、終末期は飛鳥時代にかかっていることになる。

縄文時代は世界史なら新石器時代、弥生時代は金属器時代になるわけで、うまく体操できるが、古墳時代のような墓による区分は世界史にはないのでいささか困ることもある。弥生の墓が発展したのが古墳時代なのだから、九州や出雲・吉備に大型墳墓が作られ始めた弥生後期全般だって古墳時代でもおかしくない。知らないヒトにはその区分がよくわからない人も多かろう。

往古は「大和時代」という区分があって、これがおおむね古墳時代をさしてきた。しかしそれではまるで日本が当時から大和地方が中心であったと見えるし、ということは日本の古代史が地方を無視しているとして今は古墳時代になった。だが弥生時代と飛鳥時代の間は実際には名称がないことになる。古墳時代は考古学的な区分であって、史学的にはここは空白あるいは弥生~飛鳥転換期なのである。奇妙な。

平安から中世へと言うのも奇妙である。平安時代は朝廷を中心にもう律令体制が整い、その内容は西欧の国王と騎士や領主の関係に等しいのだから中世であっておかしくない。しかし区分は古代なのである。

こういうところが日本史のあいまいさを示していて、外国につけ込まれる弱点でもあろう。


参考 森浩一著作集1 『古墳時代を考える』

とうとう森さんの著作集が出ました。


 


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