民族学とは何ですか?
ー文化人類学のことです。
どういう学問ですか?
ー世界の民族について風俗習慣やらを調べ分類します。
日本人はナニ民族?
ー日本語を共有する各種民族の集合体です。日本語民族。
日本にはどんな民族があるのですか?
ー旧石器時代移住者、新石器時代移住者、弥生時代移住者、それ以後の移住者です。民族名はそれぞれあります。それらが混在して日本語民族になりました。今ではさらに海外からの移住者が増えています。これからもどんどん増えます。日本人が少子化でどんどん減っていますから国は海外移住者に税金の口を頼り始めています。
細かく言えば倭族、アイヌ民族、出雲、熊襲、隼人、蝦夷、琉球などなどです。ほかにもいろいろあるでしょう。日本はそういう多くの小民族が時代を追ってやってきてもともといた旧石器~新石器先住民と住み分け、混血してきました。ですから日本人がナニ民族かと規定することは不可能でしょう。強いて言えば日本語を共有する人々ですが、その日本語というのが、複雑な地形のために小集団地域を作ってしまうために、あまりにも方言も多いのです。その方言は明治以前では、互いにほとんど通じないものでした。江戸の町人がお伊勢参りにいって通訳を雇わねばならなかったほどです。武士が文語を用いたのも言葉が通じないから仕方なくそうしたのです。伊藤博文の京都の天皇の宮内にあてた手紙ですら漢文でした。それほど東西でだけでも言葉が通じない。だから共通語を作るしかなかったのです。日本語不通時代がついこのあいだまで、3万年ほど続いてきたでしょう。通じるようになったのは戦後教育とテレビのおかげです。ですから日本はひとつの民族では語れない国です。
大和民族ってなんですか?なぜここにはないのですか?
ー大和という規定が明確でないので、そういう民族が日本人の中心を占めているというのは過去の妄想です。やまととは近畿・畿内しか指さない地名ですが、帝国主義・民族主義だった一時期に『日本書紀』などを悪用して大和=日本、大和民族=日本民族であるという日本人単一民族説を押し付けられた時代がありますが、すでに過去のことです。
政治的には今でも、国をひとつのわかりやすい概念や宗教性にまとめる必要があるのでときに大和民族とか~教徒であるなどと使う政党や政治家がありますがあくまでも政治的な考え方で主観的把握に過ぎません。客観的に民族学上の民族となると大和民族は存在せず、日本民族、あるいは倭人とするのが正解でしょう。
倭人って?
ー規定できません。原日本人です。
なぜ?
ーですからすでに3万年前から、日本列島に移住してきた人を基層として、あまりにもたくさんの人々が混在してきたところへ、弥生時代以降大陸から避難してきた人々が混ざり合いましたので、へたをすると主流民族というものがなくなっているかも知れないのです。
どうしてそれがわかるの?
ー遺伝子DNAの割合のグラフを見ればわかるはずです。日本人だけでなく、世界の国々でも遺伝子はさまざま混在していますが、日本の場合、Dという母方ミトコンドリア遺伝子が一番多いのでこれを主流とする手もあるでしょうが、あくまでも母方です。mtDNA遺伝子だけではまだ日本人を決定できたとは言いがたいというのが最新の考え方です。Y染色体、核DNA遺伝子のデータがそろわねばこれも決定打にはなりません。ですから今のところ日本人をナニ民族と規定するほどの分析データはないことになります。
結局ナニ民族でもない?
ーしいて言えば共通項はコメ食、魚食しかないかなあ。稲作漁労採集民族ですね。
ぼくはパン食の肉食ですけど?
ー知るか!
というわけで、戦後ますます複雑化する日本民族ってことですね?
ー正解!
民族学って民族主義とは?
ー関係ありません。学問にイデオロギーはありません。そもそも民族という言葉は差別を生み出す大元ですからもう死語になっていくでしょう。使うのは原住民・少数民族などに対してのみでしょう。アメリカは人種の坩堝といわれますが日本のような島国も「民族の坩堝」と言うべきです。イギリスにせよそうです。ケルト民族やゲルマン民族やらいろいろ混在していますから。だいたい日本民族とは?などと考え出すのがこの国ではもう時代遅れです。戦前の単一民族説はむしろ単一人種説だったと思えます。
※人種という言葉も今は学問では差別を生む死語になりつつあります。人種や民族でその国の人間を把握をしようとする行為そのものがもう差別なのです。
なんかよくわからんなあ。
ー私もわかりません。とにかく民族主義的に日本人を考えないことやね。