日本の神事に仮面はかかせない。
それはいつ始まったのか。
と、考えると、
改葬からではなかったかと考えることがある。
赤く染められた棺に
一旦納められた遺体は、
肉が溶けて骨となると
再び密閉された石棺から引き出され
新しく葬送されたという。
その折に、
異臭は墓に充満しており
遺体はたまさか半腐れの状態だっただろう。
石室内部に
遺体が放った腐食の酵素は充満し、
それはかえって遺体のさらなる腐食を防いでもいた。
穢れてしまった死者の姿を
祭祀者たちは
見ない、かがない、声を聞かない、語らないで
改葬したのではあるまいか。
仮面とはマスクであった。