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貝と春の歴史


貝は春に最もうまくなる。
だから貝には春=「張る」、英語ならバネ(スプリング)の生命力がある。そのバネの形はやはり春の山菜の蕨(わらび)やゼンマイが持っている。いわゆる蕨手文はそういう形状である。

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そこに古代の人々も永遠の生命力を見ていたようだ。


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王塚古墳装飾


縄文時代には、採集食料の主力が貝で、山ほどの貝殻が見つかる。
中心はアサリやハマグリやシジミやらの二枚貝だ。
今ならムール貝に相当するイガイ類もよく食べている。


ただ貝には貝毒があり、食べ過ぎるのは危険だ。
フグは貝を食べることで胎内に貝毒を取り込み、それがフグの猛毒テトロドキシンを作ってしまう。長崎県や佐賀県では、じゃあ、フグに貝を食べさせなければどうなるかとやってみて、毒がない養殖フグを作り出したりしている。


縄文人も、貝塚を作ってしまうほど貝を食べていて、きっと貝の毒にも苦しんだはずである。


縄文後期から弥生時代になると、貝は装身具になった。
その貝殻は二枚貝よりも巻貝である。
巻貝が持っている渦巻き模様が、不老長生をイメージさせたのだろう。

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渦巻きはすなわち永遠の円の連続である。
むかし、海外テレビ番組でタイムトンネルというのがあったが、タイムトンネルの形状がまさに巻貝の渦巻きだった。人はその中心へ向って細く続く渦巻きに、時空を越える何か時間の超越を感じたことで今も昔も同じであるようだ。



それをブレスレットにして身につけることを許される人は限られていた。シャーマンや王族である。そういうところから、倭人の最初が海の民であったことは感じ取らねばならないだろう。


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サクラやバラの花びらにもやはり似たような渦巻きは見られる。


そうした目で、地球を歩いていると、意外に地形や地層にも、永遠がちゃんと刻み込まれているのに気がつく。


ぼくは、地形、地層、自然の造形が持っている永遠に、歴史家はもっと敏感になるべきだと思っている。シャーマニズムだろうがアニミズムだろうが、人間は原初的に、そうした大自然のたくまぬ造形に往古から鳥肌が立つような官能を見出してきたのだ。



そういう意味で、あらゆる歴史のヒントをまさぐってきて、やはり大地、宇宙の、何を求めてそうした形状を作るのかが、最も大事な人類の内的歴史の肝にあるように思えてならない。


修験道だろうが道教だろうが、仏教だろうが、およそ、狭小な処世術を大きく超越した信仰の真奥に、どうも「道」があるように思うのである。


柱状節理と貝殻に、同じ何かをぼくは感じてしまう。



そこにディフォルメという真理を見るのだ。


そこがあの昨夜の教育放送の若い俳優とは一段違う、道がぼくには見えるように思う。













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