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Channel: 民族学伝承ひろいあげ辞典
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YとVの方程式

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考古学で発掘される古代水祭祀場は、必ずと言っていいほど三川合流地のY字型部分に、小礫(こいし)を広げて河川に突き出すようにしつらえてある。これはもうずいぶん前に実例を使って解説したことである。
 
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これを導水施設と呼ぶが、その水辺に突き出した形状は、女陰に突き立った男根の姿を意味している。
 
哲学的宗教民族学者・中沢新一は、ここから発展させて、空から鳥の目で俯瞰して、全世界に散らばるY字地形、Y字路(三叉路)に聖なるオブジェが置かれると考えた。この視点を中沢は”アースダイバー”の目であるとして、多くの例証を空撮写真や地形図を添えて解説している(『アースダイバー』『野生の科学』)。
 
中沢の思考は単純明快にして、されど位相幾何学・数学的にものを捉えるので、一見。とてつもなく哲学的に見えてしまうが、実は、言っていることはいつも簡単である。
 
世界中、洋の東西のを問わず、聖なるオブジェが置かれる場所には共通性があり、オブジェが持っている意味合いはすべて同じ願いで貫かれていると言っていい。
それは図式にすれば凹凸の合体であり、意味にすれば永遠なる生命への希求である。
 
 
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三叉路に置かれることの多い日本の道祖神も、山頂の元宮も、インドのリンガとヨニも、ギリシア・ローマに多いオイディプスが父親と出会った ダウリアの三叉路のような聖地も、三大宗教の派生地となったメッカも、ありとあらゆるパワースポットは、おしなべて地形ではY字と、岬のような突端に存在すると中沢は言うのである。
 
 
 
◆三叉路に置かれるリンガとヨニ
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インドのリンガ
 「男根」の意で、ヒンズー教における男神一般のシンボルだが、通常はシヴァ神のシンボルとされている。「リンガ・ヨーニ」の像は、今もなお生命原理の最高のシンボルとされ、男女の性器の交合を表している[1]。「リンガ・ヨーニ」の像に相当する言語表現が、「ハスの中の宝石」である。
 リンガは、ときには、「至聖所」cellaに祀られている男根柱の形をとることがあった。至聖所は、神殿の中心であって女神を表しており、今でも「子宮」garbha-grhaと呼ばれている。スターヌ(「柱」)という異名を持っていたシヴァは、「宝石」(すなわち、男根の先端の穴を表す目)を額の中央につけ、リンガ柱から顔を出す形で表現されていた。これは、リンガ全体が男性の姿に変容する様子を、視覚的に示したものである。初子を神の子とするため、石で造られたシヴァのリンガを使って花嫁の処女性を奪うことが、ヒンズー教のしきたりだった。Firstborn. 神殿娼婦たちも、同様のリンガの儀式によって「神の花嫁」にされたのであり、この儀式は、古代の中東、ギリシア、ローマにも見られ、共通のしきたりになっていた。以上のような実物大のリンガのほかに、大きな柱の形をしたリンガもあり、こちらの方は巡礼の対象になることが多かった。シヴァのリンガの近くでは、数々の奇跡が起こると言われていたからである。
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/antiGM/lingam.html
 
 
 

 ◆Y字とV字のパワースポット
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◆永遠希求からトポロジーへ

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俯瞰する目で、地図にある聖地や遺跡を眺めると、先土器~縄文~弥生~古墳・・・・近代に至るまで祭祀場や神社や聖地がこうした場所で一致することが多い。
それは同時に墓場であったり古墳であったりもする。
 
◆東京タワーと芝古墳群
東京タワーがある芝界隈を歩くと、すぐに縄文遺跡と古墳が同時存在することに気付く。そして地図で芝の地形を見れば、そこが台地のはじっこであり、かつてはそこまで海岸線が来ていたことに気付くはずである。
ぼくたちは学校の知識から広大な「関東平野」が広がる関東地方だと思い込んでいるが、関東平野の大半は関東ローム層の台地なのであり、奥には多摩から上昇する関東山地がある、よそより広めの山里であることに気がつかない。縄文海進の時代には芝から東は海であることも気がつかずに暮らしてしまう。しかし台地の端っこにはちゃんと貝塚が山ほどある縄文遺跡が大量に存在する。
 
その突端の、「かつての岬」の先端に神社や祠がまだあって、●●廟とか神社になっている。そこは海から見えたランドマークだった聖地である。
 
この突端の岬こそは男根である。母なる羊水の潜むヴァギナへつき立つ石棒そのものである。だからそこに祠が置かれる。YとVは女陰と男根、石窟と石棒であり、それは縄文から現代に至るまでまったき信仰の対象として変化は存在しない。
 
◆天空のリンガ=山
ここまでのアースダーバーの視点を、今度は見上げる平地からの視線に置き換えると、神社のある山のいただきは、YとVの合体構図を天空に見立てたものであることがわかってくる。
 
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空が海で、山は岬となるわけである。
 
 
このように古代人はYとVの形状に異常に永遠願望を託してきた。
記紀に登場する木股神とか、考古学で発見されるV字型(石見型)木製品、あるいは縄文時代の石棒と女陰石などの組合せもみな、そこから作り出されてきたのである。
 
今後、あなたの街を散策するときには、こうした地形のY・Vを考えながら歩かれるのがいっそう面白い人生の生き方になるでしょう。
 
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