Quantcast
Channel: 民族学伝承ひろいあげ辞典
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1881

天王日月獣文帯三神三獣鏡分布から見た吉備王権と紀氏

$
0
0
 
 
イメージ 1
三重県嬉野町一志筒野古墳出土 三角縁天王日月獣文帯三神三獣鏡
 
 
三角縁神獣鏡と言っても絵柄はさまざまある。
この三角縁鏡は
 
大分県宇佐市免田古墳群の赤塚古墳(4世紀)
福岡県福岡市の天神森古墳
同じく行橋市に近い苅田町の豊前石塚古墳(二面)
同じく筑紫野市原口古墳
京都府山城町椿井大塚山古墳(二面)
 
の合計六枚が出ており、
京都府の椿井大塚山古墳から出た神獣鏡の中にはこれが二面あった。そのうちの一面が上記九州の古墳の鏡と兄弟鏡(同笵鏡)である。つまり鋳型が同じ複製品である。
 
宇佐市の赤塚古墳は4世紀の古墳で、国東の下原古墳(3世紀後半)と並んで九州最古級の前方後円墳であるから、3世紀中ごろ築造の京都の木津川沿線にある椿井大塚山の被葬者とここの被葬者には、北部九州や近畿地方よりも深い、古いえにしがあったということになる。ところがこの鏡は奈良の黒塚古墳の大量の神獣鏡には含まれていなかった。同じ三角縁仲間でも氏族関係が違うようなのである。
 
京都大学の小林行雄は、椿井大塚の神獣鏡をそこまで細かには分析しなかったようである。ざっと三角縁神獣鏡が全国に分配された証拠品とおおまかにくくってしまった。これはヤマトが九州よりも先だという、先入観の時代だったからで、当然多くの疑問点が今になって噴出していることは邪馬台国ファンなら誰でも知っている。
 
あくまでもほとんど同時代に、木津川から豊の宇佐や筑紫の各地首長に贈られた鏡があったということなのである。これは椿井大塚が豊や筑紫の海人系氏族と同族であることを物語っている証拠品である。決してヤマトなのではなく、京都の木津川沿線であることが重要なのだ。
 
赤塚古墳からはほかに
 
別の同笵鏡である天王日月獣文帯三神三獣鏡と
唐草文帯二神二獣鏡
天王日月・鋸歯文(きょしもん)帯四神四獣鏡
波文帯盤龍鏡(はもんたい・ばんりゅうきょう)の全部で五枚が出ている。すべて漢鏡である。
 
このもう一枚の天王日月獣文帯三神三獣鏡の同笵鏡は画像で示した
三重県嬉野町の筒野古墳と
伝・京都府向日市の物集女(もずめ=桂地域)付近
滋賀県栗東市の岡山古墳
で出ており、全国で合計四面。
 
波文帯盤龍鏡は京都府長岡京市長法寺南原古墳
同じく山城町の椿井大塚山古墳
奈良県桜井市茶臼山古墳
 
で合計四枚。
 
唐草文帯二神二獣鏡は
 
赤塚以外では岡山県備前市の丸山古墳でしか見つかっていないので合計二枚である。
 
 
これらの鏡の相関関係は、地図に置いてみると前の記事に載せた紀氏らの分布域にそっくりそのまま合致してしまうのである。
 
つまり椿井が紀氏の古墳であることを物語っているのがこれらの宇佐の鏡なのである。(中村修)
 
 
 
奈良の茶臼山古墳はいわゆる記紀に乗っている「イワレ」という地域のすぐそばで、葛城山の東側にあたる。
伊勢湾の嬉野町から伊賀を抜けて木津川へ出られる。
いわゆる「海人の陸行ライン」である。
 
 
まず言える事は、小林の分配説のようなヤマト=邪馬台国とはこの鏡はまったく無関係だとわかるのである。これは紀氏らの古い九州とのえにしを語る鏡であって、それが3~4世紀に遡れるのである。つまり邪馬台国滅亡への時代に、紀氏たちは西日本に大豪族として登場した。おわかりでしょうか?海人族とは魏志によればどうもその風習が「倭人」であり邪馬台国と同時代人である人たちの風俗だと書かれた人々なのだ。そして倭人伝の倭人風習記事は狗奴国紹介記事の直後に置かれてあるのだ。
 
 
 
イメージ 2
 Kawakatu’s HP 渡来と海人http://www.oct-net.ne.jp/~hatahata/
かわかつワールド! http://blogs.yahoo.co.jp/hgnicolboy/MYBLOG/yblog.html
画像が送れる掲示板http://8912.teacup.com/kawakatu/bbs/
Kawakatu日本史世界史同時代年表http://www.oct-net.ne.jp/~hatahata/nennpyou.html
公開ファイルhttp://yahoo.jp/box/6aSHnc
装飾古墳画像コレクションhttp://yahoo.jp/box/DfCQJ3
ビデオクリップhttp://www.youtube.com/my_videos?o=U
デジブック作品集http://www.digibook.net/?entrycode=openAuthorDigiBookList&companyuuid=a09029c91b6135a0ab4fbd77295016a8&pageno=1
 
 
 
 
 

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1881

Trending Articles