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古墳は武器庫・大和王権は雄略から

 
 
 
①高安山(488m)山頂近くの気象レーダーがある尾根に古墳時代終末期に造られた3基の古墳がある。このうち真ん中の1号墳は前から開口していて、武器庫の古墳として有名であった。昭和56年3月、大阪府教育委員会は高安城範囲確認調査の一環として、1号墳及びその東にあった2号墳を発掘調査した。調査の結果、1号墳(武器庫)は無袖式の横穴式石室で、奥行約2.9m、幅は、約1mであった。2号墳は石室の全長約6m、幅60~80㎝の極めて長い無袖式の横穴式石室で、2体埋葬していたと考えられる。出土した須恵器の形から両古墳ともほぼ同じ時期で、7世紀の第三4半期(650~675年頃)に築かれたものと思われる。この点で高安城と時期を同じくする。【出典:『八尾の史跡』(棚橋利光・八尾市市長公室 市政情報課・八尾市郷土文化研究会、1999年)】 
八尾市観光協会 http://www.yaomania.jp/data/InfoDetail.asp?id=1284
 

「有名な七観古墳は戦後の土とりで完全に破壊され、現在のものは復元。直径50mの円墳でした。
三っの埋葬施設に武器・武具などが満載されて発見されました。
人体埋葬がないことから履中陵古墳の武器庫とも考えられていますが、実は中央に巨大な盗掘穴があり、本当に被葬者がなかったかは不明だとか」
http://blogs.yahoo.co.jp/ichoucon/38208194.html
 
 
 
 


 
 
 
 
古墳は武器庫
かつて古墳だったといわれる大和の石上神宮や穴師坐大兵主神社、京都市伏見区の藤森神社は朝廷や物部氏らの武器庫だったという説がある。藤森神社も正式には兵主神社であるので、兵主=兵庫である。石上神宮にも「石上坐布都御魂神」という剣の魂が祭られている。兵庫県の地名もそこに武器庫が置かれたゆえである。

大和のメスリ山古墳はあまりにも大量の武器が副葬されていたために、考古学者も史学者も武器庫だった可能性をささやいている。

上記神社が、もとはその地に古墳があったようである。
つまりすべての古墳がそうだったとは言わないまでも、首長の墓の周囲に武器庫としての培塚(ばいちょう)が寄り添っていることは不思議ではないだろう。培塚は殉死者や死者のための宝物を別に入れる塚であるが、墓域を隠れ蓑にして武器庫を紛れ込ませておいたのだろう。

メスリ山のような、副葬品にあまりにも実用武器が多く出る墓は、まず武器庫だったと言えるだろう。でなければ、貴重な鉄器が氏族間で枯渇してしまいかねない。古墳の多くは中世には山城に応用されたが、そもそも古代から古墳が戦闘にふさわしい高さや堀を持っていたことは武家も十分に知った上での築城ではあるまいか。
 
鉄器を石室に収めた場合、湿気が一番の課題である。そのために、かなり頻繁に石室内部に入り、先祖祭祀にかこつけて武器を磨き、あるいは実践練習していたのかも知れない。
 
このように多くの武器を隠し持つことが、当時の氏族には必要不可欠だったのだろう。なぜなら目だって武器を集めれば、情報が漏れ、反乱の下心ありと思われかねないからである。古墳時代中期以後、大和の古墳が横穴式になっていったもうひとつの理由もここにあったとも考えうる。

従って、古墳内部の鉄器武器は、実力者の象徴的遺物である、立派ないくつかの武器を除けば、副葬品というよりも実用品と見る方向性も必要で、そうすると広瀬のいう古墳の武器=被葬者氏族の当時の実力という考え方に、別の視点から納得がいくこととなろう。また、中期以降の横穴式石室が半島西部・南部域の伽耶・百済あたりから入って、雄略あたりからの、畿内にようやく真の武力王の登場、という時代の流れにも矛盾しなくなるだろう。松木武彦によれば伽耶の古墳はヤマトに大きく影響したようである。新羅や高句麗様式よりはよく似ている様式。(『未盗掘古墳と天皇陵古墳』2013)
 
言い換えれば、『日本書記』などの雄略=わかたけるの前の記録は後世のあとづけがほとんどだという判断を裏打ちすることにもなろうか。大和の「王権(世界史的に正統な武力政権)」は神武からなどではなく、雄略に始まると考えたほうが整合であろう。卑弥呼の時代からは200年ほどあとになる。中国が乱れていた四世紀をはさむのだから、むしろそのほうが理屈にあう。宋が成立してすばらくして倭王武の上表文も送られており、合致してくる。
大和王権の誕生は従って5世紀後半。日本海貿易王である継体大王が登場し、日本の東西の雄であった筑紫と上野が平定され、飛鳥時代・奈良時代へつながってゆく。
 
 
 
 
次回からは久しぶりに谷川健一の「蛇」を題材にする。
 
民俗学的な面白さを。
 

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