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(※注意 このサイトなどのいわゆる災害地名というのは、すべてが災害があった史実にあてはまるわけではないことは先に書いておく。そういう地名に住んでいる場合、地域の歴史や土壌など再確認するきっかけになればいいということである。Kawakatu)
「日本の各地に過去の大災害の教訓と深く結びついた地名が残っています。楠原佑介(くすはら ゆうすけ、地名研究家、1941~)によると、東日本大震災(2011.3.11)の東北の被災地にも過去の津波の痕跡を示す地名が少なくないという。
○ 名取市(なとりし、宮城県)の「な」は古語で土地を意味し、「とり」は土地が削り取られたことを指し、その昔津波が地面を削り取った土地だとのことです。続日本記(しょくにほんぎ、697~791)によると、この地名はすでに奈良時代にあり、平安時代の貞観年間(867~876)に起きた大地震と津波は有名ですが、それ以前にも多くの災害があったのではと見ています。東日本大震災では津波で900人を超す犠牲者を出し、仙台空港が一時使用不能となりました。
○ 女川町(おながわまち、宮城県)、小名浜(おなはま、福島県いわき市)など、 「おな」が付いているところが、東日本大震災で被災地名になっています。これは、男波(おなみ)と呼ばれる高く打ち寄せる波のことを、「み」を省き、「おな」と呼んだ名残と推測されます。
東日本大震災では、女場(おなば、宮城県南相馬市小高区)、女遊戸(おなつぺ、岩手県宮古市崎山)の両集落は、海岸沿いではないのですが、津波の被害を受けました。海のそばで、「おな」の付く地名は東北地方だけでも十ヵ所を超えるという。
○ 波倉(なみくら、福島県樽葉町)の倉とは、「刳(く)る」が名刺化した語で、地面がえぐられたような地形に使われることが多いという。文字通り、波がえぐった土地というわけです。今回の東日本大震災では辛うじて損壊をまぬがrた福島第2原発も、津波の危険性は大きいことが推測されます。
○ その他、釜石(かまいし、岩手県)は、釜のようにえぐられた磯に由来し、気仙沼(けせんぬま、宮城県)は、津波によっても「消せない」との願望の意です。
また、東海地震で危険が疑われる場所として、鎌倉市(かまくらし、神奈川県)があり、「かま」とは、かまどや釜の由来でもあるように、穴のへこんだ状態のことです。記録が確かな13世紀の百年間だけでも7度の大きな地震、津波に襲われ、膨大な死者を出したことを語り継ぐ必要があります。
○ 芋川(いもかわ、新潟県)は、「埋もれる川」、中越地震に近い山古志村から南流、妙見(みょうけん、新潟県)は、損壊するという意味の「めげる」に由来し、中越地震で山崩れが発生、加賀(かが、石川県)は、自然の力で「欠け」た土地の意味、波により多くの崖(がけ)ができたとのこと、灘(なだ、兵庫県)は、地面が大きな力で「なでられる」、「なだれ」に由来、阪神大震災で被災、桜島(さくらじま、鹿児島県)は、噴火口が「裂(さ)ける」に由来、普賢岳(ふげんだけ、鹿児島県)は、「吹けぬ(噴火しない)ように」との願望の意です。
○ 蛇抜(じゃぬけ)の地名は、長野、岐阜、富山、長崎など各地にあり、水害の歴史と深く結びついています。笹本正治(ささもとしょうじ、歴史学者、信州大副学長、1951~)によると、かって蛇抜で多くの犠牲者が出た与川のある木曽地域では、花こう岩の白い地質があり、川を曲がりくねりながら抜けていく土砂は、白い大蛇に見えてもおかしくなく、ここから土石流を蛇抜と呼ぶようになったと推測されます。
東日本大震災という未曽有の大災害を受け、全国の自治体では各種のハザードマップを作成する動きが広まっている中、楠原氏は、「マップには大字(おおあざ)や小字だけでなく、確認できる限りの旧地名を盛り込み、古(いにしえ)の人々が未来にどのような警笛を鳴らしているのかを、考えて欲しい」と提言しています。
(参考文献) 北陸中日新聞: 地名から災害の歴史を学ぶべきだと話す楠原氏(東京都千代田区で)、研究家が著書で訴え、地名から災害史学んで、この地名が危ない(幻冬舎新書)今月下旬出版、2011年(平成23年)12月3日(土)朝刊; 北陸中日新聞: 生活、蛇抜、蛇の道、地名は災害教訓、2013年(平成25年)1月7日(月)朝刊.
(追加説明)
○ 阿波(のち徳島)藩の藍の生産地、板野(いたの)の地名は、板(いた)は、傷む(いたむ)の語幹であり、河川などによる川岸の崩壊に由来するので、板野(いたの)は吉野川の氾濫によりできた平野を意味していると推測されます。
1784年(天明4年)頃、阿波藍の生産地の中心は、吉野川中・下流域の北方5郡(名東、名西、麻植、板野、阿波)、特に吉野川下流の板野郡の地域でした。この地域は、吉野川が毎年氾濫し(1800年代で16回)、上流から土砂が流出し、肥沃な平野を形成していました。
俗説では、徳島藩が吉野川流域に堤防を築かなかったのは、流域の藍作を持続したいためとのことですが、史実は、藩には吉野川の完璧な治水工事を行う財源もなければ、労働力の確保も出来なかったのだと言われています。」
http://kanazawa-sakurada.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-4616.html
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留意点
芋川地名・・・「いも」は鋳物(いもの)地名でもある。鋳物師(いもじ)は播磨を中心にした針鋳物師が渡来系工人だろうと考えられ、近畿では京都南部に「いもあらい」などの地名がある。姫路鋳物師たちは中世以降、東北に招聘され南部鉄器の元を形成した。芋川は鉄を冷やした川という地名。ただ、そういうせせらぎや小川が扇状地の急斜面にあることは否めず、当然上記のごとき災害地名としてリンクしていたこともあるだろう。
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芋川決壊による護岸工事計画 新潟県
広島市芋川、氾濫。
蛇抜け・・・蛇、まむし、むかでなどは鉱山師の隠語地名で、鉱物の筋を指す。当然、鉱物を多く含む地層には花崗岩が存在する。「へびがぬける」とはほかの地名で言うなら「山移やまうつり」なのであり、土砂災害も多かったわけだろう。また蛇にともなってその土地に三輪伝説、苧環型、神婚丹塗り矢伝説、ミゾクイなどの治水豪族伝承なども付随する。東アジア最古の治水王は中国夏王朝(商・実在)の伝説的王・夏王禹である→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%B9
大崎、さけ、さきなども河川氾濫、決壊地名で、京都では大酒、兵庫では大裂、地名で大崎、稲荷、きつねなどなども秦氏が切り開いた土地の意味。阿蘇の蹴り裂き伝説も阿蘇氏開拓地名。
大崎、さけ、さきなども河川氾濫、決壊地名で、京都では大酒、兵庫では大裂、地名で大崎、稲荷、きつねなどなども秦氏が切り開いた土地の意味。阿蘇の蹴り裂き伝説も阿蘇氏開拓地名。
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また蛇は「は」「はは」「はぶ」ゆえに、羽地名も。付随して久留米の「羽犬原」なども。「はいぬ」とは「蛇犬」か?犬は鉱物を探すもの=ポチで、蛇=鉱脈。そういう氏族がいた場所。当然危険地名となる。
サル・・・申は仏教で北東の鬼門、古神道、陰陽道、道教で北西で「金」。いずれも鬼門で、サルや猿太彦つまり庚申が置かれるということは危険な方向。要するに鬼は災害、災厄、わざわいの象徴。近世以降、「去る」に転じて、魔物よけに。ちなみに当家は北東にサルの玩具を置いている。(苦笑)
あわ・・・泡のようにふらふらした安定しない。夢の浮島。同時にアワビの多い海がある土地。生命が生まれ出る場所。粟島、淡島。浮き橋=この世のものでない不安定なはっきりしない=和歌山弁「あわいさ」。
ユリ・・・百合、由利は淘汰させる製鉄、精錬地名。ユリ分ける・・・百合若大臣。流れ出す溶岩、なだれ、土石流。揺れる。
田原・・・淘汰。田原の藤太。むかで退治。藤原秀郷。製鉄武人。「ふじ」=ツル=葛=井戸掘り、垂直坑道を掘る人。
広島の安佐地名は二つの村の複合地名で、災厄とは無関係。
なが・なか・・・海人地名。「なが」は蛇で河川が分かれる中州地帯などを言う。つまり低湿地で津波や高波、氾濫に弱い。「なか」地名に関しては「那珂地名」として別記事を参照。「なが」はサンスクリット語「ナーガ」=複頭の大蛇。ヤマタノオロチこれは出雲の簸川の象徴。
中通し、中通り・・・なか=蛇が抜けた場所。通ったところ。つまり決壊や土石流、津波地名。五島列島中通り、福島県中通り、熊本県阿蘇市中通(なかどおし)古墳群など。
また中=蛇=海人族海士地名。あま=スム・住吉・つつ・つづ・くくり・きくり・もぐり・かずく、かづき、くぐる・くぐつ・くくつ・くくち・くこち・きくち・・・・
須佐・・・「すさんだ」「荒れた」。そういう神々の子孫がいる所。つまり工人=荒神。千手観音=技術者の仏。工人、技術者は儒教観念から差別され河原などに住んだ。そういう場所は危険な土壌だったことが多いわけである。湿地や海抜0m地帯、高山、山奥の奥。山頂。河原。扇状地。匠地名なども山奥が多い。隠れ住んだ。同時にスサノヲ子孫伝承や新羅神信仰、一向宗、時宗、隠れキリシタンなどのマイノリティな信仰。平家落ち武者伝説、貴種流離譚、天照御魂信仰などなどが付随。
羽生・・・はにゅう、蛇が生まれる土地。水銀、ベンガラ地名。土生。壬生。秩父。鉱山。
なた・なだ・たるみ・すわ・・・大風、洪水、難破、津波
(※人名と地名に直接関係はない。その土地に入ったことで名乗るのが中世動向も明治の苗字名乗りも普通。地名が人名と同じ意味を持つ人は相当古い血脈の人で本物といえる。つまり埴生、羽生などは古代から鉱山師か画師か古墳作成者で地名の大元になるほどのご先祖さま氏族だ。)
もう一度書き添えておくが、その後改良された土地もあれば、そのままのところもある。必ず土壌調査や災害史実などと照らし合わせて利用されたい。所詮は伝承であることはお忘れなく。ヒントになれば幸い。また地名は明治以後、相当変更があるし、平成の合併もある。慎重に。安易な引用は風評被害を生みますので。引用するときはしつこいほど、こういう注意点を添えておいていただきたい。知らないところで差別をしてしまうことになりかねない。
ただし、そこに住む人にとって、どんなにささいな迷信、言い伝えでも、危険から遠ざかるためのヒントにできることは間違いなく、石橋を叩くことになるのである。昔は老人たちの言い伝えがあった。民俗学的な話は生活の中に生きていたのだ。それが今は老人のたわごととされ、耳を傾けなくなった。だが地名は静かにそれを伝えている場合が多い、地方自治は地名をどんどん改変している。危険を増幅させているとは気づかずに。
住む町の言い伝え、土壌、地名、そして歴史を知っておくことは、あなたの危険度を間違いなく軽減します。しつこいようだが、過去記事と重複しても、こうした記事は定期的に何度も繰り返し書いておく必要があると思っている。
氷水かぶって、善意のねずみ講パフォーマンスやっているひまがあったら、足元を調べてください。金持ちは金を出し、貧乏人は水被るのが正しいんじゃないの?やらないものは悪人になってしまいかねない、冗談が過ぎた行い。だって病気はそれだけじゃない。たとえ僕の息子がそうであっても、ぼくには別の貢献方法をとる権利がある。