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白い雀 王 莽と蘇我氏 

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皇極元年(642)七月丙子「蘇我臣蝦夷がしとべ、白雀(しらすずめ)の子を獲(え)たり。是の日の同じ時に人有りて、白雀を以て籠(こ)に納れて蘇我大臣に送る」

天武の時代には瑞祥は赤であるが、それは『日本書紀』では天武の一時期に限られ、常はほぼ白い動物が瑞祥とされている。ここで蘇我蝦夷には白い雀が瑞祥だったことになている。


こうした瑞祥は要するにその人の政治が天意にかなっているという表現である。たとえば孝徳大王が年号を「白雉」としたのは、中国の王蒙(おうもう)が白雉を越裳(えっしょう)氏から送られたという記録にあやかってのものだろう。これを機に王蒙は「安漢公」という称号を賜っている。

『資治通鑑』「孝哀皇帝下元始元年(辛酉,公元一年)
春,正月,王莽風益州,令塞外蠻夷自稱越裳氏重譯獻白雉一、雉二。莽白太后 下詔,以白雉薦宗廟。於是群臣盛陳莽功,致周成白雉之瑞,周公及身在而托號於周, 莽宜賜號曰安漢公,益戶疇爵邑。」

後1年春正月、王莽は益州にウソを言わせた。国外の蛮夷が、越裳氏を名のり、なんども翻訳して、白キジ1羽と、黒キジ2羽を献上してきたと。

胡三省はいう。越裳氏の注釈は、すでに『資治通鑑』二十八巻の前漢元帝、初元二年にある。越裳氏の土地は、益州の塞外にない。王莽は幼い平帝を助ける。王莽の功徳を、遠方の人がほめたことにするため、ウソをついた。周公をマネた。
顔師古はいう。「訳」とは、伝えて言うこと。道路が絶え、風俗が違うから、なんども翻訳が必要だった。本文にある「風」は「諷」におなじ。

王莽は王太后に、白キジを宗廟に供えさせた。郡臣は、言った。「周の成公は白キジをもらったから、周公を名のった。王莽を、安漢公として、食邑を子孫まで保たせるべきです」と。

胡三省はいう。聖王の法によれば、臣下に大功があれば、美しい号をあたえる。だから周公の故事を、郡臣が持ち出したのだ。

 張晏はいう。前漢のルールでは、食邑を子孫がつぐとき、代ごとに20%ずつ減らす。「疇」は、等しいこと。ふたたび減らさないことをいう。
賢はいう。「疇」は、等しいこと。功臣の子孫が、先代とおなじ食邑をつぐことを指す。つまり王莽が安漢公に進んだら、王莽の子孫は、永久に食邑をキープできる。





恵美押勝(藤原仲麻呂)の『家伝』上(鎌足伝)の中に、「入鹿の所業は安漢王王蒙のようである」と書いてある。藤原氏にとって蘇我氏はまさに王蒙のような乗っ取り政権だったわけである。つまり『日本書紀』の白雀記事は、王蒙の白雉を踏まえた上で蘇我大臣を卑劣な簒奪政権だと言っているのだと考えてよかろう(遠山 2014)。

また同署では入鹿の所業を後漢末期の乱臣・董卓にも例えている。

こういうことは『日本書紀』の作り話で間違いない。『日本書紀』は恣意的に蘇我氏を悪逆非道な乗っ取り王家に仕立てようとしたと見られる。まず間違いなかろう。ということは蘇我氏にはそういうひどいところは実はなかったと、逆にばればれになっているわけである。

そして瑞祥は同時に、半面で「おごり」であり、やがて王権が倒れてしかるべしだと言っていることになるだろう。


蘇我氏はではいったいどの政権を簒奪したと言うのだろうか?
『日本書紀』の順番から見て、蘇我氏直前の王朝といえば、まずは継体王朝である。あるいはもしそれが大和にあったとするならばだが、倭五王なども蘇我氏の前の王朝である。しかし『日本書紀』はまったく倭五王を意識して天皇を創作していないようにも見える。すると『日本書紀』が蘇我氏がそれを殺して奪ったことにしたかった政権とは継体・安閑・宣化の三代だったと見られるのである。

筆者は蘇我氏という氏族は確かに存在したと思う。問題はその書き方が藤原氏にとってどうみても気に入らない政権であり、始祖鎌足が滅ぼしてしかるべき氏族としてあるわけである。

ところがその蘇我氏からは厩戸や推古女帝も出てくるわけで、これが大王家だったことは間違いがない。それを大臣としてしまわねばならなかった。

飛鳥王権は蘇我王権であったと言える。だから蘇我氏の時代、称徳天皇などは実在であろう。ペルシア風石造物や石棺の残骸が飛鳥にはあふれている。これは称徳女帝時代の遺物であることはまず間違いない。ペルシア人建築士たちが百済から送られているからだ。その時代は半島でしだに百済が押し出されていきはじめた時代である。百済と大和の関係は緊密だった。だからこそ蘇我王家の後裔としての天智の白村江の戦いだったのだ。『日本書紀』はこの大事な期間をうまくできたお話にしてある。

だが嘘であることは間違いない。




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