「野生の花見」というものがあっただろうか?
そもそも未開人が花など愛でたであろうか?
われわれの常識では、まずそういう無意識が先行し、縄文人や先土器人が桜やなにがしかの自然を眺めて、そこに喜怒哀楽を見出すなど、これまで考え付くことすらなかっただろう。これまではそういうのが歴史の定説だったとしておこう。
するとこのような風雅は、すべて弥生以降の大陸人によって、未開な縄文列島へ持ち込まれて発展したことになってしまう。
なるほど見せ方は洗練され、あたかも文明的な趣向を凝らしてはあるが、
よく見れば、その素材、容器、あまりにも日本的な、いや世界では日本にしかないこの野生を洗練させる美観は、日本の風土、島国、森林の生活の中でしか生まれ得ないものであると気がつくはずである。
一銭も金を使わずに作った、筆者の花見の酒肴。
素材はすべて散歩して摘んできた野草でしかない。
味噌も、酒もすべて手作りで、買ってきたものなどなにもない。
のびる、さくらの塩漬け、秋蕗の新芽、ふきのとう・・・・
それに麹を使ったカラシ味噌。塩麹。
素材のすべてが路傍の野生である。
器は小じゃれて見える薩摩ではあるが、その黒い釉薬の下に隠れている陶器は、ただの野生的な土器でなのである。
箸もすでに縄文時代から日本には存在した。
盛り付けた漆器は金箔のほかは、ただの樹木と漆でできている。
そしてこれでも見事に野生を包み込み、充分に贅沢で、趣味人の風雅に見えている。
縄文人が同じ素材と器を使ったら、果たして粗野な、下卑たものになったであろうか?
いや、それよりもむしろ、縄文人が花を愛でたりするのであろうか?
およそ、周囲の生活空間に、常に野生があるような世界で、こうした風雅が育つものか?
なくなってこそ利休や魯山人や織部たちは出現したのではないか?
誰もがそう考えるだろう。
野生をアレンジして風雅の高みにまで仕上げたのは、やはり弥生人の文明だ。
そうなのか?
ならばなぜ弥生時代になると、そうした野生の環境は消えてゆくのであるか?
なにゆえに世界史の定説である、中世の「略奪・暴行・放火・殺人」が横行する、殺伐とした時代が始まるのか?
彼らに環境を省みる「濡れた思考」がなかったからではないのか?大陸的な即物的、殺伐とした人類の文明社会は今も、現代中国の中にがんぜんとして残存しているのではないのか?
島人であったがゆえの優雅、自然、野生のたおやかな思想は続いてきた、そうではないというのか?
そう、これが「もうひとつの文明」ではないのか?
弥生の農耕が、本当に安定生活であったというのなら、なぜ弥生人たちは奪い合い、土地を守ることに汲々とせねばやっていけなくなったのか?
失われた野生への、憧れ、憧憬こそが、現代人をして風雅を欲しがらせている。
そして最も言わねばならないのは、人を押しのけてまで物欲を満足させたがる現代人の大半に、縄文の、島人の奥ゆかしさが消えていくのはなぜなのか?
常に歴史は常識の外に真理がある。
貨幣経済、自由主義経済こそが、本当に人類の幸福をもたらす至高のイデオロギーだったのであろうか?
今、まさにわれわれは「思考と主義の三叉路」に立たされている。
いずれの路も、そなたらにはない。
選択と言う至上の喜びは、そなたらにはもうない。
すれはもう、弥生時代に米を作るために森林を切り開いた、その瞬間に、われわれの手の届かぬ神の世界へと遠ざかったのだ。
いや。
運命の三叉路。
それははるか遠い時代、人類が道具と火を手にしたときから・・・
いやいや、猿が森を出たその瞬間から、すでに宇宙が作り出した母なる森と大地から、われわれは「切り捨てられていた」のではなかったか?
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