気づつない(関西弁) 気術ない
類語=気づつない ・ 気術無い ・ ずつない ・ 術ない
意味 心苦しい。気を使ってしまう。すべがない。せんない。どうにもならない。気疲れする。恐縮してしまう。恐れ多い。気詰まりである。申し訳ない。満腹で息苦しい。
どうにもなすすべ(術)がない。
類語=気づつない ・ 気術無い ・ ずつない ・ 術ない
意味 心苦しい。気を使ってしまう。すべがない。せんない。どうにもならない。気疲れする。恐縮してしまう。恐れ多い。気詰まりである。申し訳ない。満腹で息苦しい。
どうにもなすすべ(術)がない。
用例
「そこまでしていただくと、かえって気づつないですわ」
「あんなに知らん人ばっかりとご一緒すると、いかにあつかましい私も、気づつないがな」
「そこまでしていただくと、かえって気づつないですわ」
「あんなに知らん人ばっかりとご一緒すると、いかにあつかましい私も、気づつないがな」
地域
摂津・河内 気づつない、気ぜつない、づつない
播州・播磨・丹後・淡路 気ずつない
胸や腹が苦しい。 肉食べ過ぎてずつないわー
(肉を食べ過ぎて腹が苦しいよ)
出典:全国方言辞典
「ずつない」の前の言葉
ずこいきり (富山の方言)
ずし (宮崎の方言)
ずずねー (栃木の方言)
「ずつない」の後の言葉
ずつない (奈良の方言)
ずつない (高知の方言)
ずつねー (大分の方言) 大分のどこの地域か、筆者使ったことなし。東大阪の人から初めて聞いた言葉。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/dialect/2192/m0u/
ずつない (奈良の方言)
ずつない (高知の方言)
ずつねー (大分の方言) 大分のどこの地域か、筆者使ったことなし。東大阪の人から初めて聞いた言葉。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/dialect/2192/m0u/
瀬戸内地域に限らず、かなり広く広がりを見せるようだ。
栃木県は意外である。
阿波 ずつない
『改訂阿波言葉の辞典』
苦悩のはけ場のないような苦境のさまと言う意味で
① せつない・やるせない
② ものうい
③ 満腹で動きたくない感じ
④ 疲れた感じ
⑤ つらい、苦しい
『改訂阿波言葉の辞典』
苦悩のはけ場のないような苦境のさまと言う意味で
① せつない・やるせない
② ものうい
③ 満腹で動きたくない感じ
④ 疲れた感じ
⑤ つらい、苦しい
古典用例「女殺し油地獄」=「ああ「づつない」かかさま母様、母様はまだ帰らずかと」、
「浮世床」=「わりゃ飯の食立で「づつなう」はないかよ」と出ている。これらは「づ」を使っている。
http://www.jrt.co.jp/tv/ohayo/awaben/061108.htm
奈良時代には「すべなし」。
この「すべ」=術を大阪周辺で江戸期に「じゅつなし」と使用。
「じゅつなし」が「じつなし」、「ずつなし」、「づつなし」に変化。「じゃ、じゅ、じぇ」が難波、播州、阿波などでは言いにくい音であるらしいことがわかる。
そういえば落語家の桂文枝が三枝時代、時代劇の「十手」のことを「十手はじってやろう?」と当然のように言っていた。「じゅって」が正しいのだが。
「にんじゅつ」も「にんじつ」と言うのだろうか?「しゅじゅつ」は?「じゅず」は?「じゅんちゃん」は?「ジョン・レノン」は? 気になり始めた。
付録
素人の思いつきだが、関西人独特の音韻変化かと思えるのは、ほかに「りれきしょ」→「じれきしょう」、「うどん」→「うろん」、「きつね」→「けつね」、「すもう」→「すもん」、「ゆうれい」→「ゆうれん」、「らくご」→「らっご」、「プラスティック」→「プラッチック」、「とうふ」→「とふ」・・・などがある。実際に暮らして耳にした言葉である。
特徴的に、一語の単語は母音を延ばす=「木」「気」→「きィ」、「歯」→「はァ」などが著名。
一音の語尾を延ばしたり、止めるべき音を延ばすのは、語調を整えるためである。関東で「ににがし」を「ににんがし」と言うようなのと同じ行為だが、関西方言の抑揚には語尾を延ばすほうがマッチするのだろう。朝鮮半島語調や華南語調、発音の影響か?ただし、もし渡来による音韻の変化ならば東京の隅田川以東地域も渡来人が多かったのだから、似たような変化になってもよさそうだが?
ちなみに、奈良地方は平安遷都によって膨大な人口減少が起こり(奈良市で江戸期に3万人まで減少する)、その後今の人口100万都市に復活したのは、大阪・京都・兵庫・四国などからの大量移住があったのだろう。また、「づつない」が京都にはなく、ほぼ「すべがない」「気ィ使いますわあ」であることは考察のヒントになるか?
あるいは地域によって伝播があったかも知れないが。京言葉の成立には当然平安遷都で移住してきた多くの大和人の言葉が影響したであろう。